遠い昔に都が置かれた、古代ロマンあふれる地、飛鳥。
史跡や古墳などの歴史名所が残る中、少々変わったものもあり。それは、存在理由や目的などよくわからない、謎の石造物の数々。
飛鳥の散策の折に、「謎の石」探しにもチャレンジしてみませんか?
飛鳥を代表する石造物
まずは、飛鳥の石造物の中でも、代表的なものをピックアップ。
亀石
飛鳥を東西に横切るのどかな道。そのそばにたたずむ、大きな亀さんの石。
お昼寝しているような穏やかで愛嬌のあるお顔の亀石は、人気・知名度とともに飛鳥No.1。
しかし、誰がなんのためにここに置いたのかなど、謎に包まれています。近くの川原寺が寺領の境界に置いたという説もありますが、定かではありません。

猿石
吉備姫王(きびひめのみこと)の墓の中に並べて置かれた4つの猿石。奇怪な顔をした石ですが、サルというより人に近いかも。

姿形や仕草が異なる4つの石には、それぞれ、「男」「女」「僧」「山王権現」という名がついています。
用途や目的など、こちらも全く不明の「謎の石」です。

酒船石
飛鳥寺南東の小高い丘の上に置かれた巨石、酒船石(さかふねいし)。
平ぺったい形をした石の表面には、丸いくぼみや溝が彫られています。
発見当初は、お酒を絞るための施設と考えられために、この名がつけられました。
ただし、今は、古代の庭園や宮廷に水を引きいれる設備の一部であると推測されています。

酒船石の近くには、2000年に発見された亀形・小判形石造物もあります。
特徴的なのは、下の写真左側、精巧に作られた亀形部分。その甲羅部分は水をためられる形になっています、
亀形・小判形石造物も、酒船石と同様、水を引き入れる設備と考えられています。

まだまだあるよ、謎の石
先にご紹介した有名な石造物以外にも、飛鳥には謎の石がまだまだあります。
飛鳥めぐりの途中で見つけたら、ぜひ立ち寄ってみましょう。
鬼の雪隠(せっちん)・鬼の俎(まないた)
天武・持統天皇陵の近くに、2つの大きな巨石があります。
1つは、中央に大きなくぼみのある鬼の雪隠(せっちん)。雪隠とは便所のこと。
そう言われれば、男性用の小便器に見えないこともないです。

もう1つは鬼の雪隠近くの丘の上に残る鬼の俎(まないた)。こちらは平ぺったい形をしています。
もとは古墳の石室であり、それが割れて、鬼の雪隠と鬼の俎に分かれたと考えられています。

二面石
橘寺の境内にある、高さ1mほどの石。お寺の本堂横にポツンと置かれています。
左右の面には、それぞれ異なる表情の顔。
二面は、人間の心の中にある「善」と「悪」を示すと言われています。


弥勒石
飛鳥川沿いにポツンと立つ小さな祠。
祠の中には、頭と体だけの人型の巨石が祀られています。これが弥勒石(みろくいし)です。
弥勒石のお顔は、口がわずかにわかる程度の「のっぺり顔」。しかし、どこか愛嬌も感じられます。

資料館で謎の石のお勉強
「謎の石探し」の際には、次の2つの資料館も訪ねてみましょう。
ここで飛鳥の石造物について少しお勉強。頭の中でもやもやしていた謎が、少しは解明されるかも。
飛鳥資料館
飛鳥資料館は、奈良文化財研究所の附属施設で、飛鳥の歴史と文化を紹介する資料館。
ここには、飛鳥のほぼ全ての石造物(実物またはレプリカ)があります。
まず、館内では、「石人像」と「須弥山石」の本物(ともに国重要文化財指定)などが展示されています。

一方、資料館前の庭園には、先に紹介しました亀石や猿石など、飛鳥各地に散らばる有名石造物(レプリカ)が一堂に会します。
なお、館内は有料ですが、庭園だけなら無料で入れます。

(基本情報)
住所:奈良県高市郡明日香村奥山601
開館時間:9:00〜16:30(入館は16:00まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
入館料:大人300円 大学生200円 70歳以上・高校生および18歳未満は無料
アクセス:(近鉄)橿原神宮前駅から徒歩30分 (明日香周遊バス)「明日香奥山・飛鳥資料館西」下車すぐ
ホームページ:飛鳥資料館
明日香村埋蔵文化財展示室
こちらは、明日香村が運営する文化財展示施設です。
旧飛鳥小学校を利用した建物の中に、充実した展示内容。猿石などのレプリカが、詳しい説明つきで展示されています。入場無料。
(基本情報)
住所:奈良県高市郡明日香村大字飛鳥225-2(「あすか夢の楽市」すぐ隣)
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:年末年始
入館料:無料
アクセス:(近鉄)橿原神宮前駅から徒歩25分 (明日香周遊バス)「飛鳥」下車すぐ
ホームページ:明日香村埋蔵文化財展示室