古代大和王権の中心地であった、奈良・飛鳥。
今もこの飛鳥の各地には、昔の権力者たちの古墳が残ります。
その中でも特に有名なのが、石舞台古墳、高松塚古墳、そして、キトラ古墳。
知名度だけでなく、学術的価値も高い3つの古墳。
それぞれ国の特別史跡に指定されています。
今回は、最後に本格調査が行われた三古墳の「末弟」、キトラ古墳をご紹介します。
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石室の壁に描かれた四神
キトラ古墳は、飛鳥南端の阿部山にある、円形の古墳。
高松塚古墳と同様、石室に描かれた彩色壁画で知られます。
被葬者は未確定ながら、天武天皇の長子・高市皇子(たけちのみこ)との説が有力です。
最初の調査が行われたのは1983年。
まず、見つかったのは、中国伝説の四神の1つ、北の守護神・玄武(げんぶ)。
亀と蛇が絡み合った神聖な姿は、キトラ古墳のシンボル的存在です。
その後、青龍(せいりゅう)・白虎(びゃっこ)・朱雀(すざく)の壁画も発見。
南の朱雀が欠けた高松塚古墳とは違い、四神勢揃いの古墳です。
なお、高松塚古墳での壁画劣化の失敗を教訓に、キトラ古墳では壁画が石室からはぎ取られました。
取り出された壁画群は、現在、専用の保管施設で管理されています。
キトラ古墳とその周辺見どころ
発掘調査および壁画はぎ取り作業の終了後、キトラ古墳は、元の姿に埋め戻されました。
古墳とその周辺一帯は、現在、国営飛鳥歴史公園・キトラ古墳周辺地区として整備されています。
キトラ古墳
キトラ古墳は、歴史公園内の小さな山・阿部山の南斜面にあります。
調査を終えて石室は埋め戻されており、中を見ることはできませんが、外からの見学は自由です。
二段造りの円墳で、上段は直径9.4m、下段は直径13.8m。
こんもりとした丘のような形が特徴的です。
キトラ古墳壁画体験館「四神の館」
埋め戻されて石室の中を見ることができない、キトラ古墳。
それに代わる古墳紹介施設が、この四神の館です。
地階展示室では、キトラ古墳についての詳しい展示が行われています。
注目は、キトラ古墳石室のレプリカ。
玄武をはじめとする四神、十二支、天文図などの壁画が精巧に再現されています。
また、1階の壁画保存管理施設では、期間限定ですが、はぎ取られた壁画の一般公開が行われています。
(壁画の一般公開の詳細は、キトラ古墳壁画の公開について(文化庁ホームページ)をご覧ください)
四神の広場と展望台
四神の館の前には大きな芝生広場(四神の広場)が広がります。
腰を下ろしてくつろげる場所で、ちょっとした休憩に最適。
お天気のよい日には、ここでお弁当を広げるのもいいですね。
キトラ古墳のそばには展望台もあります。
ここは、飛鳥の風景を一望できる好眺望スポット。
北を眺めれば、正面に大和三山の畝傍山(うねびやま)、やや右手に耳成山(みみなしやま)が見えます。
また、左奥には二上山も見えます。
この二上山から切り出された石が、キトラ古墳の石室に使われています。
キトラ古墳の基本情報
住所:奈良県高市郡明日香村阿部山
電話番号:
0744-54-2441(国営飛鳥歴史公園・飛鳥管理センター)
0744-54-5105(キトラ古墳壁画体験館・四神の館)
入園料:無料
四神の館情報:
(入館時間)午前9時半~午後5時(12月~2月は午前9時半~午後4時半)
(定休日)12/29~1/3、壁画非公開時の毎週水曜日
(入館料)無料
(備考)壁画公開は期間限定・要事前登録(ただし、地階展示室は入室自由)
アクセス:
(近鉄)壺坂山駅から徒歩12分 飛鳥駅から徒歩22分
(バス利用)近鉄飛鳥駅からバス(飛鳥キトラ線)乗車、「キトラ」バス停下車
駐車場:有
ホームページ:
国営飛鳥歴史公園 キトラ古墳周辺地区
キトラ古墳壁画体験館 四神の館(奈良文化財研究所)