奈良公園から東の方角を眺めると、南北に連なる山々の中に、薄い緑色をした山が見えます。
これが、奈良のシンボルでもある若草山。奈良の冬の風物詩「若草山焼き」でも知られます。
山焼きで一度丸裸になってしまう若草山。その後、芝が少しずつ生え始め、4月~5月頃には美しい薄緑色の山が復活します。
三段のなだらかな山
若草山は、3つの頂のある、なだらかな三段の山。三笠山とも呼ばれます。
誰でも登ることができますが、冬期は閉山期間で入ることはできません。
若草山へは、西側の山麓にある入山ゲートから入ります。
山の中には歩きやすい登山道が整備されています。道に沿って3つの頂(一重目、二重目、三重目)を順に登っていきます。

最高点である三重目でも標高は342mとそれほど高くなく、また、山全体の傾斜も緩やか。誰でも気軽にハイキング感覚で登ることができるのが、若草山登山の魅力です。
なお、若草山山頂の背後には、奈良奥山ドライブウェーが通っています。山頂近くには広い駐車場もあります。
手っ取り早く登りたいなら、ドライブウェーを使って車で一気に山頂へ行くのもありです。
若草山登山
若草山の入山ゲートは北と南の2つあります。
北と南で一重目までのルートが異なりますが、距離や傾斜のきつさなど、登山の難易度はそれほど変わりません。

ゲート先の芝生斜面
若草山を訪れる人がまず目にする、ゲート先に広がる芝生の斜面。横幅300mにも及ぶ、大迫力の緑のじゅうたんです。
芝生の斜面にもちろん入ることもできます。芝生を駆け上がるのもよし、腰を下ろしてお弁当を広げるのもよし。

最初の関門、一重目
若草山登山の最初の目標は1つ目の頂、一重目です。
一重目へは、芝生斜面の横にある階段をコツコツと登っていきます。
大人の足で、一重目まで15分~20分程度。ただ、階段がずっと続くこの道は、若草山登山の中で一番の難所です。

一重目は、周囲に遮るものが何もない、芝生広がる開放的な場所。
東大寺の大仏殿や興福寺の五重塔など、奈良公園内の観光名所もよく見えます。

草原地帯を歩く、二重目
一重目から先は、これまでとは打って変わって草原地帯を進みます。
次の目標地点である二重目は草原地帯の真ん中にあり、一重目からも見えています。
なだらかに続く草原の中の心地よいハイキングを楽しめます。一重目から二重目までは10分ほどです。

ここが山頂!三重目
二重目まで来れば、最終目標の三重目(若草山山頂)はもう目の前。草原地帯をさらに進み、二重目から10分ぐらいで山頂到着です。
三重目の芝生の上では、大勢の鹿がのんびりとくつろいでいます。見晴らしのよいこの場所で、鹿とともにしばし休憩。

さすがに若草山の最高点。一重目や二重目と比べて眺望はさらによく、奈良盆地を一望できます。
天気がよければ、南に大和三山が見えます。二等辺三角形のきれいな形をした山、耳成山が目印です。
藤原宮跡がある辺りですね。


山頂から奥に広がる春日山原始林
若草山の山頂からは、普通は、来た道を戻って山麓のゲートまで下山します。
ただ、同じ道を帰るのはおもしろくないという方は、山頂からさらに奥、春日山遊歩道を経由して下山するのもいいですよ。
若草山の背後には、国の特別天然記念物にも指定されている春日山原始林が広がっています。
春日山遊歩道はこの原始林の中に整備された道。木漏れ日が差し込む中、さわやかな林間ハイキングが楽しめます。
若草山山頂からはずっと下り道が続き、山麓の南ゲート付近まで下りてきます。若草山山頂から南ゲートまでは、45分ぐらいです。

若草山の基本情報
住所:奈良県奈良市雑司町
開山期間:3月第3土曜日~12月第2日曜日(冬期は閉山)
開山時間:9:00~17:00
入山料:大人(中学生以上)150円 小人(3歳以上)80円
アクセス:近鉄奈良駅から入山ゲートまで徒歩30分 (バス利用)「大仏殿春日大社」または「春日大社表参道」下車、徒歩10分
駐車場:有(若草山頂駐車場)
ホームページ:若草山(奈良公園クイックガイド)