現在の神戸市東部(灘区・東灘区)は、西宮とともに、古くから「灘の酒」で知られた酒造りのまち。
今も、大小さまざまな酒造メーカーがひしめきあう、全国屈指の日本酒激戦区です。
一方で、このお酒のまちには、昔の酒蔵など、一般の人にも開放されている施設もあります。
その1つが、今回ご紹介する白鶴酒造資料館。
大手酒造メーカー、白鶴酒造が運営する「お酒の資料館」です。
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灘・御影の名門酒造
灘五郷の1つに数えられる、神戸市東灘区の御影郷。
この御影郷にある酒造メーカーの1つが、白鶴酒造です。
創業は江戸中期の1743年で、近隣の菊正宗と並ぶ、御影の名門酒造。
また、現代では、「白鶴まる」のCMなどで、全国的にもよく知られた酒造会社です。
白鶴酒造資料館の見どころ
白鶴酒造資料館は、白鶴酒造の本社敷地内にあります。
でも、中に入るのに手続きは特に不要、入館料も無料です。
警備員さんがいらっしゃいますが、穏やかに会釈して通してくれます。
風情ある資料館の建物は、昔の酒蔵を利用したもの。
元は、大正初期に建てられた「本店壱号蔵」で、昭和44年まで現役だったそう。
昔の酒造用具と酒造り工程
白鶴酒造資料館の建物は二階建て。
館内の大部分は展示スペースとなっています。
1階・2階にわたる広いスペースに、大小さまざまな酒造用具を展示。
また同時に、昔の酒造りの工程が順に紹介されています。
また、酒造用具とともに立つ、「白鶴」蔵人人形が秀逸ですね。
その自然な作業姿は、当時の酒造りの様子を理解するよい手助けとなります。
まずは、館内1階から。
入った正面、まず目に入るのは、口をこちらに向けて横倒しにされた、巨大な大桶。
その側では、この大桶を階上へつり上げようとがんばる、蔵人たちの姿。
大きな桶を、阿弥陀車(あみだぐるま)という滑車のような装置を使って引き上げる様子が再現されています。
また、大桶の周りには、酒づくりの第1段階、洗米・蒸米の工程を紹介。
それにあわせて、大小さまざまなサイズの桶や枡が展示されています。
その先は2階へ続きます。
ただし、その前に、階段横の映写ホールも訪れておきましょう。
白鶴酒造の酒づくりの歴史などをまとめた映像が上映されています。
(上映時間は約15分、観覧自由)
館内2階では、麹(こうじ)取り込み・酛(もと)仕込み、醪(もろみ)仕込みなど、酒造りのメイン工程を紹介しています。
まず、高温・高湿の麹室で、蒸米に麹菌をくっつけて菌を繁殖させます。
次に、麹と蒸米、それに水を加えて酛(酒母)を造ります。
酒造りの最後の仕上げが、醪仕込み。
酛(酒母)に麹・蒸米・水を加えて発酵させます。
普通は3回に分けて仕込むことから、「三段仕込」とも呼ばれます。
発酵が終わったら、醪を絞って酒と粕に分離。
酒は濾過や火入れを行った後、樽詰めして出荷します。
菰(こも)に巻かれた昔ながらの酒樽のできあがりです。
2階を一通り見終えたら、階段を降りて再び1階へ。
降りた先には、巨大な「てこ」のような大きな装置が置かれています。
これは、発酵直後のお酒(醪)を酒袋につめて絞る、上槽(じょうそう)。
なお、酒造り工程の順番からすれば、2階に展示すべきものでしょうけど、あまりにも長大なため、1階に置かれているようですね。
お待ちかね!利き酒コーナー&ショップ
ここまでで、展示スペースの見学は終わり。
その先にあるのは、お酒好きさんお待ちかね、利き酒(試飲)コーナーです。
白鶴特製の日本酒はもちろん、他にも梅酒など、数種類のお酒の試飲を無料で楽しめます。
なお、アルコール度数の強いお酒もありますので、お酒があまり強くない方はご注意ください。
1杯1杯は少量であっても、立て続けに何杯も飲むと回ってしまいます。
もちろん、試飲された方は、その量に関係なく、その後のお車の運転は厳禁です。
利き酒コーナーの横には白鶴直営のショップがあります。
利き酒コーナーにあったお酒はすべて販売されています。
この資料館だけの限定酒もありますよ。
また、お酒の他、酒粕・おつまみなどの品揃えも豊富です。
お子さま向けのソフトクリームもあります。
入館記念のお土産にぜひどうぞ。
白鶴酒造資料館の基本情報
住所:神戸市東灘区住吉南町4丁目5−5
電話番号:078-822-8907
開館時間:午前9時半~午後4時半(入館は午後4時まで)
休館日:年末年始・お盆
入館料:無料
アクセス:(阪神)住吉駅から徒歩5分 (JR)住吉駅から徒歩15分
駐車場:有(無料・15台)
ホームページ:白鶴酒造資料館