「日本一の酒どころ」と称される灘五郷。
その1つ、御影郷(みかげごう)は、現在の神戸市東灘区にあります。
今回は、この御影郷にあるお酒の資料館、菊正宗酒造記念館をご紹介。
場所は、東灘区を貫く清流・住吉川のすぐそばです。
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灘の老舗、菊正宗酒造
菊正宗酒造は、御影郷で古くから知られる大手酒造メーカーです。
灘五郷の中でもとびきりの老舗で、その創業は江戸時代前半の1659年。
今では全国的にも名の知れた会社ですが、老舗らしく、昔ながらの日本酒造りを得意としています。
現在でも、菊正宗の多くのお酒が、伝統製法「生酛(きもと)造り」で作られています。
菊正宗酒造記念館の見どころ
菊正宗酒造記念館は、老舗・菊正宗が昔から運営しているお酒の資料館。
神戸の清流・住吉川の河口近く、その西岸にあります。
遠目にもよく見える、背後からにょっきり突き出た「菊正宗」の文字が目印です。
なお、以前の酒造記念館の建物は、江戸時代の古い酒蔵を利用したものでしたが、1995年の阪神・淡路大震災で全壊。
現在の記念館は、震災後に再建された二代目です。
また、酒造記念館は入館自由。
無料の利き酒コーナーもあります。
はねつるべ
長屋門をくぐると、正面に館内への入口が見えますが、中に入る前にちょっと周囲を眺めてみましょう。
正面向かって左手には、酒造用の水を汲み上げるための、大きなはねつるべがあります。
古風なはねつるべですが、大正時代から昭和の終わりぐらいまで使われていたそうです。
水車小屋
一方、右手には、水車小屋があります。
灘の酒造業では、水車は、酒造米の精米動力として重要な役割を果たしました。
この水車小屋は、昭和の時代に縮小復元されたものですが、昔の姿が精巧に再現されています。
小屋の中の様子も見学できます。
館内1階・酒造展示室
では、記念館の中に入ってみましょう。
菊正宗には、創業以来の古い酒造用具が数多く残されており、一部は国の重要有形民俗文化財に指定されています。
それらの酒造用具を展示しているのが、館内1階の酒造展示室。
この記念館の一番の見どころです。
酒造展示室には、形・大きさ・用途さまざまな酒造用具が所狭しと並べられています。
例えば、下の写真にある樽のようなものは、大砲(たいほう)。これは酒造用の水を運ぶための容器です。
江戸時代後期、西宮神社の近くで、「宮水」と呼ばれる酒造好適水が見つかりました。
灘の蔵元は、先を争うようにこの宮水の使用を開始。
菊正宗でも、西宮で汲み上げた宮水をこの大砲に詰め、船や馬車で灘まで運んだそうです。
また、昔の酒造りときいて、多くの人が頭に思い浮かべるのが木製の桶(おけ)。
酒造展示室には、大小いろんなサイズの桶が展示されています。
部屋の天井に届きそうなくらい、ビッグサイズの桶もあり。
この大桶は、主に、お酒の仕込みに使います。
変わった名前がつけられた用具もあります。
例えば、「かえる」という名の足踏み台。
由来は、カエルが前足を踏ん張っている姿に似ているからとか。
他にも、「うどんや」「地蔵屋根」など、名前だけでは全く想像つかない用具もちらほらと。
館内2階・文化財収蔵庫
1階の展示物以外にも、さまざまな文化財が残されている菊正宗。
それらを収蔵するのが、2階の文化財収蔵庫。
酒造用具はもちろん、昔の美人画ポスターなど貴重な品々が保管されています。
ショップと利き酒コーナー
また、館内1階には、菊正宗直営のショップが併設されています。
菊正宗のいろんなお酒がずらり。
ここでしか販売されていない、記念館限定商品もあります。
お土産にぜひどうぞ。
お酒好きにはうれしい、利き酒(試飲)コーナーもあります。
数種類のお酒を楽しめます。もちろん無料。
なお、たとえ少量の試飲であっても、お酒を飲んだ後に車を運転してはいけません。
利き酒を楽しむつもりなら、公共交通機関を利用して訪れましょう。
初春には蔵開きイベントあり
灘五郷の多くの酒造メーカーでは、毎年初春に蔵開きのイベントが行われます。
菊正宗の蔵開きは、たいてい2月下旬頃に開催されています。
工場(酒蔵)や酒造記念館で、蔵の見学やお酒の試飲など、さまざまなイベントが催されます。
毎年、大勢のお酒好きで賑わいます。
菊正宗酒造記念館の基本情報
住所:神戸市東灘区魚崎西町1-9-1
電話番号:078-854-1029
開館時間:午前9時半~午後4時半
休館日:年末年始
入館料:無料
アクセス:(阪神)魚崎駅から徒歩8分 (六甲ライナー)南魚崎駅から徒歩2分
駐車場:有(試飲予定の方は公共交通機関での来館を)
ホームページ:菊正宗酒造記念館