神戸市の東灘区を南北に流れる、都会の清流・住吉川。
この川沿いの西側に、戦前に建てられた歴史ある美術館があります。
それが、今回ご紹介する白鶴美術館です。
灘五郷・御影郷の酒造メーカー、白鶴酒造。
その昔の当主の収蔵品を展示する美術館です。
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貴重な古美術品の数々
白鶴美術館の開館は、1934年(昭和9年)です。
古美術品の収集が趣味であった白鶴酒造第7代当主・嘉納治兵衛。
その収蔵品を一般に公開するために設立されました。
奈良・興福寺の古美術を扱う家に生まれ、若い頃から美術品好きであったという、この白鶴の当主さん。
その美術品を見る目は確かなようですね。
仏教美術・青銅器・陶磁器など東洋の古美術品を中心に、国宝2件、重要文化財22件を含む、1450点もの貴重な品々を収蔵。
個人収集の品を展示する美術館としては、質・量とも群を抜いています。
白鶴美術館の見どころ
白鶴美術館には、本館と新館の2つの建物があります。
白鶴当主収集の古美術品を収蔵しているのが本館。
一方の新館では、中東の絨毯(じゅうたん)が展示されています。
なお、この美術館には常設展示はありません。
春と秋にそれぞれ開かれる展覧会の時期にのみ開館されます(夏・冬は休館)。
本館
住吉川の川沿いからも見える、立派な建物が本館。
屋根や柱上の組み物などから、一見、和風の建物にも見えますが、随所に西洋の建築様式も組み込まれています。
「和洋折衷」の昭和の名建築、国の登録有形文化財にも指定されています。
本館の展示は、仏教美術、陶磁器、そして、中国の青銅器などが中心です。
特筆すべきは青銅器。
殷(商)・周など、紀元前はるか昔の中国王朝時代の品が多数収蔵されています。
本館の前には、季節の花に彩られた美しい日本庭園が広がります。
その中で、来館した人の目を引くのは、本館正面に立つ燈籠(とうろう)。
東大寺を訪れたことがある方なら気づくかもしれません。
八角柱をした形や大きさ、大仏殿前にある国宝八角燈籠とそっくり!
それもそのはず、この燈籠は、その東大寺の八角燈籠から直接型をとって作られています。
新館
新館は、1995年(平成7年)、開館60周年を記念して建てられました。
東洋の古美術品を収蔵する本館とは打って変わって、こちらで展示されているのは中東イスラム圏の“じゅうたん”。
日本中でも珍しい「カーペットミュージアム」です。
トルコやペルシャ(イラン)など、オリエンタルな雰囲気満載の美しいカーペット。
東洋の古美術品を眺めた後の目には、かなり新鮮に感じられます。
白鶴美術館の基本情報
住所:神戸市東灘区住吉山手6丁目1−1
電話番号:078-851-6001
開館時期:(春季展)3月上旬~6月上旬 (秋季展)9月上旬~12月上旬
会期中開館時間:午前10時~午後4時半
会期中定休日:毎週月曜日
入館料:(大人)800円 (65歳以上・大高生)500円 (中小生)250円
アクセス:
(阪急)御影駅から徒歩15分 (JR)住吉駅から徒歩20分
(バス利用)JR住吉駅・阪神御影駅から市バス38系統、「白鶴美術館前」下車すぐ
駐車場:有
ホームページ:公益財団法人 白鶴美術館