神戸は、海はもちろん、山の自然も楽しめる街。
北から六甲山系が迫り、市街地のすぐ近くでも自然を感じることができます。
その神戸のおすすめハイキングコースの1つが、今回ご紹介する布引の滝です。
布引の滝
布引の滝は、平安の頃から知られる古滝です。
那智(和歌山県那智勝浦)・華厳(栃木県日光)とともに「日本三大神滝」とも呼ばれ、日本の滝百選に選ばれています。
なお、布引の滝とは、六甲山の麓を流れる生田川の中流、流れに沿って並ぶ4つの滝の総称。
下流から、雌滝(めんたき)、鼓ヶ滝(つつみがたき)、夫婦滝(めおとたき)、雄滝(おんたき)の順で並んでいます。
メインの滝は、最上流に位置する雄滝です。

また、最寄りの新神戸駅から、一番近い滝まで徒歩わずか数分という、街からのアクセスの良さも魅力です。
難易度低めで、ハイキング初心者の方やお子さん連れのご家族でもOK、気軽にハイキングを楽しめます。

雌滝
ハイキングコースを出発して最初に出会うのが、最も下流にある雌滝です。
ただし、この雌滝は、上流の雄滝へ向かう本道の途中、左にそれた脇道の先にあります。見逃さないようご注意ください。
下の写真のように、上流の雄滝へは長い石段を登らないといけませんが、雌滝があるのは石段手前の左側の道。
この石段はちょっときついという方でも、雌滝だけならラクラク訪れることができますよ。

雌滝は、後でたどり着く上流の雄滝と比べれば小さいものの、高さ19mで落差は十分。
その名の通り、女性的な穏やかさを感じさせる滝です。

鼓ヶ滝
雌滝から長い石段を登った先にあります。鼓の音に似ているということで、付いた名前が「鼓ヶ滝」。
ただ、布引の4つの滝の中で、この滝だけはハイキング道からは見えにくいです。
身を乗り出してのぞいても、なんとか滝壺が見える程度です。

雄滝と夫婦滝
鼓ヶ滝からさらに奥へ行くと、「狭ご路も橋」という橋に到着。
新神戸駅からここまで徒歩15分です。この橋からは、雄滝と夫婦滝の2種類の滝を見ることができます。

4つの滝の中で一番上流に位置する雄滝は、布引最大の滝。
高さは43m。ただ、「瀑布」と呼ばれるような大迫力の滝とは違いますね。
岸壁の表面を白布を引くように水がしたたり落ちる滝の流れ。力強い滝ではありますが、落ち着いた雰囲気も醸し出しています。

また、夫婦滝は、雄滝のすぐ下、雄滝の滝壺から流れ落ちる二筋の滝です。
その先で一筋に合流することから、「夫婦」の名前が付きました。

ハイキングコースはさらに先へ
雄滝到着で、布引の滝は終わりですが、布引ハイキングコースはまだ上へと続きます。
時間的・体力的にまだまだ余裕があるなら、さらに先へと進んでみましょう。
見晴らし展望台
雄滝からさらに10分ほど階段を上っていくと、展望台に到着します。
南側に大きく開けた、大変眺望のよい場所で、ここから神戸の街と神戸港を一望できます。
また、休憩所やトイレもあります。ここで一息、休憩を入れ、階段をずっと登りつめてきた体をしばし休めましょう。

布引貯水池
展望台からさらにハイキングコースを進むと、大きな壁が見えてきます。
これは布引ダム(布引五本松堰堤)。明治時代の建造物で、国の重要文化財の指定も受けています。

布引ダムで仕切られてできた池は、布引貯水池と呼ばれています。
木々に囲まれたこの貯水池周辺は、神戸の街からは離れた静かな空間。
ここは野鳥の宝庫としても知られ、池の周りには遊歩道や野鳥観察所などもあります。
ただし、この池はかなり広く、鳥がいても、多くの場合、肉眼では小さすぎてよく見えません。
バードウォッチングを楽しみたい方は、双眼鏡やオペラグラスの持参をおすすめします。

ロープウェイの利用法
また、布引ハイキングコース周辺では、布引ハーブ園へ向かうロープウェイが運行されています。
新神戸駅近くの山麓駅から、風の丘中間駅を経て、世継山の山頂駅に至る、神戸布引ロープウェイです。
布引の滝周辺の散策だけなら、これに乗る必要はあまりないです。しかし、滝からさらに奥へ進む場合はロープウェイを利用するのもよいでしょう。

布引ハーブ園に行く場合はもちろん、布引貯水池へ行く場合にもロープウェイは使えます。
ハーブ園に行くなら山頂駅で下車。布引貯水池なら、風の丘中間駅で途中下車、そこから徒歩5分です。
また、ロープウェイでまずは山頂駅まで登り、そこから徒歩で山麓の新神戸駅まで下る、という利用法もあります。
布引の滝の基本情報
住所:神戸市中央区葺合町布引山
アクセス:
(山陽新幹線・神戸市営地下鉄)新神戸駅から雌滝まで徒歩5分、雄滝まで徒歩15分
(神戸布引ロープウェイ)風の丘中間駅から雄滝まで、下り徒歩10分
駐車場:新神戸駅周辺の駐車場を利用