神戸市東灘区、南北に流れる住吉川の西側に、御影(みかげ)という地名があります。
ここは、「御影石」の名にも残る、歴史ある地。また、灘五郷の1つ、御影郷でも知られる酒どころでもあります。
また、現代では高級住宅地としても知られますが、その街中にある古い社が、今回ご紹介する弓弦羽神社(ゆづるはじんじゃ)です。
男子フィギュアスケートの羽生結弦選手が参拝したことでも知られます。
社のシンボル・八咫烏
弓弦羽神社の歴史は古く、その創建は、平安時代初期の849年。
熊野三山の神、熊野大神を祀ります。
この弓弦羽神社のシンボルは、三本足のカラス、八咫烏(やたがらす)。
八咫烏は熊野大神の使いで、日本神話の神武東征では、熊野の山中で迷ったイワレビコ(後の神武天皇)を大和へ導きました。
この逸話から、弓弦羽神社は、勝利・成就へ導いてくれる「導きの宮」と呼ばれています。

さて、この導きの鳥・八咫烏、弓弦羽神社の境内各所に出没します。
例えば、手水舎の真ん中で、羽を休める一羽のカラス。
また、社務所の屋根、こんなところにも八咫烏。棟端のちょっと小さな鳥影、見つけられますか?

また、八咫烏は日本サッカー協会のシンボルマークに使われ。日本代表のエンブレムにも描かれています。
その縁で、毎年、多くのサッカー関係者が必勝祈願に訪れます。
境内には石で作られたサッカーボールのオブジェ。もちろん、御影石製です。

弓弦羽神社の境内見どころ
閑静な住宅地の中、周囲の木々に隠された弓弦羽神社の境内。
南の端に立つ大きな鳥居が、その入口です。

犬のお散歩OKの参道
鳥居をくぐると、まっすぐ北に向かって参道がのびています。
両脇には、樹齢370年のムクノキや樹齢250年のクスノキなど、老木・巨木が並びます。
参道の先の横には、犬専用の水飲み場あり。
境内での犬のお散歩OK。愛犬と一緒の参拝も大歓迎の社です。

拝殿と本殿
参道を奥まで進むと、その正面に、入母屋造の立派な建物が見えてきます。これは拝殿です。

ご本殿は、大きな拝殿の背後に隠れるようにして立っています。
瑞垣に囲まれた神聖なエリアに立つ、流造の社殿。主祭神の熊野大神が祀られています。

境内ひとめぐり
本殿への参拝を終えたら、弓弦羽神社の境内をひとめぐり。
本殿の後ろには境内末社が並びます。
まずは十二社。その名の通り、十二の末社が1つの相殿にまとめられています。
江戸時代末期の建築で、弓弦羽神社の中で最も古い建物です。

十二社の左横にあるのは、松尾社。本宮である京都嵐山の松尾大社と同様、酒造の神さまを祀ります。
社周辺の御影の地は、灘五郷の1つ、御影郷がある酒どころ。
松尾社は、古くから地元の蔵元から篤い崇敬を受けてきました。

また、ご祈祷の申し込みをされる方、あるいは、お守り・御朱印などをお求めの方は社務所へ。
愛らしいカラスのゆるキャラ、ゆづ丸くんが目印です。

すぐ隣には美術館
弓弦羽神社の東側、道をはさんですぐ隣には、香雪美術館があります。
ここは、朝日新聞創業者・村山龍平の収集品を展示する美術館。
刀剣や仏像美術品など、国重要文化財ににも指定されている貴重な品を多数収蔵しています。
ただし常設展はありません。年に数回行われる展覧会の時期にのみ開館されます。

弓弦羽神社の基本情報
住所:神戸市東灘区御影郡家2丁目9−27
アクセス:(阪急)御影駅から徒歩5分 (JR)住吉駅から徒歩10分
駐車場:有
備考:境内参拝自由
ホームページ:弓弦羽神社