彦根藩井伊家35万石の居城、彦根城。
国宝指定の当時の天守が今も残る、日本を代表する名城の1つです。
この彦根城天守の北東、内濠を挟んだ向こう側に、大きな日本庭園があります。
これが、今回ご紹介する、玄宮園(げんきゅうえん)です。

彦根藩の大名庭園
彦根藩は、徳川四天王の一人、井伊直政を初代藩主とする、徳川譜代筆頭の大名。
その彦根藩35万石の居城が彦根城で、当時の天守が今も残る数少ないお城です。

その天守のそばにある玄宮園は、彦根藩によって造られた大名庭園。江戸時代前期の1677年頃、第4代藩主の井伊直興により造営されました。
大きな池に大小の島、島には橋がかかり、池の畔には風情ある数寄屋造の建物。
中国・唐の玄宗皇帝の離宮を参考に作られたと伝わる、美しい庭園です。
なお、玄宮園は、隣の楽々園とともに、「玄宮楽々園」として国の名勝に指定されています。

玄宮園の見どころ
玄宮園は、彦根城を借景とした池泉回遊式の庭園です。
中央に大きな池が広がり、その背後には彦根城天守。
また、園内各所に、「玄宮園十勝」と呼ばれる景勝スポットが点在しています。
では、玄宮園の主な見どころをご紹介していきましょう。

龍臥橋(りゅうがばし)
真ん中に大きな池が広がる園内で、よいアクセントとなっているのが島と橋。
池には大小4つの島が浮かび、それらの島々には橋がかけられています。
その1つが、玄宮園十勝の1つ、「龍臥橋」。
小島を挟んでゆるやかに弧を描く、大小2つの橋です。

飛梁渓(ひりょうけい)
玄宮園の各所から彦根城の天守を眺めるできますが、その中でもおすすめは、池の北の畔。
南西方向を望めば、池の向こう側にそびえる美しい国宝天守。この辺りは、「飛梁渓」と呼ばれています。

臨池閣(りんちかく)
天守の手前に目を向けると、池の畔に、茅葺き屋根の趣ある建物が見えます。
水の上に浮かぶように立つこの建物、「臨池閣」と呼ばれています。

鳳翔台(ほうしょうだい)
臨池閣の奥には小高い山(築山)があり、その上にも、茅葺き・数寄屋造りの建物が立っています。
この建物は「鳳翔台」と呼ばれています。
藩主が客人をもてなすために使用した、いわゆる、客殿です。

鳳翔台には茶席があり、一般に開放されています。
広い庭園めぐりに疲れたら、ここで一服。池の周りの美しい風景を眺めながら喫する、お茶の味は格別です。

昔の大名屋敷・楽々園
玄宮園の西隣には、古風な建物群が残ります。ここは、楽々園(らくらくえん)と呼ばれています。
大名庭園である玄宮園に対して、こちらは、大名屋敷(御殿部分)で、二の丸御殿、あるいは、槻(けやき)御殿とも呼ばれました。
また、この楽々園は、江戸時代後期に増築されており、そのときに建てられた、御書院などの古風な建築物が今も残ります。

なお、ここは、彦根藩第15代藩主で、幕末には大老を務めた、井伊直弼が生まれた場所でもあります。
井伊直弼については、次のページもご覧ください。

玄宮園の基本情報
住所:滋賀県彦根市金亀町3
開園時間:午前8時半~午後5時
休園日:年中無休
入園料:
- (彦根城と共通)大人1000円 小中生300円
- (単独) 大人400円 小中生150円
アクセス:(JR・近江鉄道)彦根駅から徒歩20分
駐車場:有