大阪府北部には、3世紀~7世紀初め(古墳時代)に作られた、数多くの古墳が残ります。
その中でも、大きさの点で飛び抜けているのが、茨木にある前方後円墳、太田茶臼山古墳。
被葬者は不明ながら、宮内庁により継体天皇陵に治定されています。
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大阪府北部最大の古墳
太田茶臼山古墳は、墳丘長226mの巨大前方後円墳です。
堺の仁徳天皇陵や羽曳野の応神天皇陵には及びませんが、大阪府北部の古墳の中では最大。
日本全国でも第21位の規模を誇ります。
なお、太田茶臼山古墳は、宮内庁により第26代継体天皇の陵に治定されているものの、現在、この治定には疑問符がついています。
その大きな理由は、この古墳の推定築造時期(5世紀中頃)が継体天皇の没年(6世紀前半)と大きくずれていること。
今では、ここから北東に1.5kmほど離れた、高槻の今城塚古墳が、「真の継体天皇陵」の最有力候補となっています。
太田茶臼山古墳の見どころ
太田茶臼山古墳の墳丘は、周りを水濠で囲まれています。
ここは宮内庁の管理下にあり、中に立ち入ることはできません。
また、濠の周りには住宅地が立ち並んでいます。
ただ、ところどころに、墳丘を眺められるスポットが存在します。
そのうち、おすすめのスポットを2つご紹介しましょう。
拝所
仁徳天皇陵や応神天皇陵など、宮内庁の治定を受けている陵墓では、その近くに墳丘を拝むための拝所が設けられています。
その拝所の位置は、前方後円墳であれば、前側の方形部(前方部)の正面です。
継体天皇陵とされている太田茶臼山古墳にも、もちろん拝所あり。
太田茶臼山古墳では前方部が南を向いているため、拝所は、古墳の南端にあります。
拝所は、周囲が開けた開放的な空間。
一方で、足下一面に広がる白砂利と正面に立つ白い鳥居が、厳かな雰囲気を醸し出しています。
鳥居の向こうには、水濠を間に挟んで、木々に覆われたこんもりとした墳丘。
古墳の大きさを実感できる場所です。
太田公民館付近
拝所の西にある太田公民館付近も、墳丘を眺めるのによい場所です。
ここは、墳丘前方部の角近く。そして、公民館は濠に面して立っています。
住宅などで視界が遮られることがなく、墳丘の側面、前方部からくびれ部、後円部までの輪郭がよく見えます。
また、公民館前には、太田茶臼山古墳についての詳しい説明板もあります。
周辺の関連スポット
太田茶臼山古墳の周辺には、他にも、大型古墳など古代遺跡が残ります。
その中でも、太田茶臼山古墳から比較的近く、また見どころも多いスポットをご紹介しましょう。
今城塚古墳・今城塚古代歴史館
今城塚古墳は、太田茶臼山古墳の北東、高槻市内にあります。
墳丘長190mの前方後円墳で、この辺りでは太田茶臼山古墳に次ぐ規模の古墳。
この今城塚古墳は、「真の継体天皇の陵」に有力視されていますが、宮内庁の治定を受けていないため、立ち入り制限などありません。
現在、一帯は史跡公園として整備され、中央の墳丘にも入ることができます。
(詳細は、「今城塚古墳」のページをご覧ください)
今城塚古墳の隣には、高槻市立の歴史博物館、今城塚古代歴史館があります。
ここは、古墳めぐりの際にぜひ訪れておきたい場所の1つ。
館内一番の見どころは、古墳時代をテーマにした常設展。
今城塚古墳・太田茶臼山古墳などからの出土品実物も多数展示されています。
入館無料であるのもうれしいですね。
(詳細は、「今城塚古代歴史館」のページをご覧ください)
新池埴輪製作遺跡(ハニワ工場公園)
太田茶臼山古墳の北にある遺跡で、「古代の埴輪工場」の跡。
埴輪を焼いた窯が残り、周囲にはさまざまな種類の復元埴輪が並べられています。
また、作業場などの施設も復元されています。
太田茶臼山古墳や今城塚古墳など、この一帯の古墳で出土した埴輪の多くは、ここで造られたと考えられています。
(詳細は、「ハニワ工場公園」のページをご覧ください)
太田茶臼山古墳の基本情報
住所:大阪府茨木市太田3丁目10
電話番号:075-601-1863(宮内庁 桃山陵墓監区事務所)
アクセス:
(阪急)茨木市駅から近鉄バス乗車、「太田」バス停下車、徒歩4分
(JR)摂津富田駅から高槻市バス乗車、「土室南」バス停下車、徒歩8分
駐車場:無
備考:拝所は入場自由(陵墓内は立ち入り禁止)
ホームページ:継体天皇 三嶋藍野陵(宮内庁ホームページ)