薬師寺|いにしえの東塔と、再建された朱色の大伽藍(奈良名所巡り)

寺院(奈良)

奈良・平城宮跡の西のエリアは、昔から西ノ京と呼ばれています。

今回ご紹介する薬師寺は、近隣の唐招提寺と並ぶ、古くから知られる西ノ京の名所。

また、現在は、興福寺と並ぶ法相宗の大本山です。

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天武天皇勅願寺、南都七大寺の1つ

薬師寺は、飛鳥時代白鳳期、天武天皇により皇后(後の持統天皇)の病気平癒を祈願して創建された、勅願寺です。

寺名が示す通り、病気や苦しみを癒やす薬師如来を祀ります。

平城遷都の際に、平城宮の西の現在地へ移転し、境内に金堂、講堂、東西の塔など大規模な伽藍を構えました。

東大寺興福寺などとともに、南都七大寺の1つにも数えられました。

薬師寺

しかし、平安時代以降の天災や兵乱などで、昔の伽藍の多くを焼失しました。

現在、奈良時代の建築物としては、唯一、東塔のみが残されています。

一方で、薬師寺では、戦後の昭和期から大規模な伽藍の再建が開始されました。

東塔の周囲に、金堂、大講堂、西塔などが建てられ、白鳳伽藍(はくほうがらん)と呼ばれる大伽藍が完成しています。

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朱色で統一された白鳳伽藍

現在の薬師寺の中心は白鳳伽藍。

中門の左右から続く回廊が、金堂、東塔、西塔をぐるりと取り囲む伽藍構成です。

近代に再建された建物が朱色で統一された、美しい伽藍です。

白鳳伽藍

金堂

白鳳伽藍の中心的な仏堂、1976年の再建です。

お堂はまだ新しい建物ですが、その中には大変古い仏像が安置されています。

薬師寺本尊の薬師如来像と、脇侍の日光菩薩像・月光菩薩像、いわゆる薬師三尊像。薬師寺創建の白鳳期の仏像で、3体とも国宝指定です。

金堂

東塔と西塔

金堂の左右両側に同じ形の2つの塔が立ちます

金堂に向かって右手には東塔。平城京移転時の奈良時代の建立で、薬師寺の中で最古の建築物。国宝指定。

三重の塔ですが、各層屋根の下に裳階(もこし)と呼ばれる庇(ひさし)がついているため、六重の塔にも見えます。

東塔と反対側、金堂に向かって左手には西塔。こちらは1981年の再建。

鮮やかな朱色の塔ではありますが、塔の基本的なデザインは東塔と同じです。

東塔と西塔

大講堂

大講堂は、金堂の背後に立つ大きなお堂。薬師寺で最大の大きさを誇ります。2003年の再建です。

大きな堂内には巨大な仏像が安置されています。弥勒如来の坐像で、両側の2体の脇侍と合わせて弥勒三尊像と呼ばれています。

大講堂

東院堂

東院堂は近年再建の建物ではなく、鎌倉時代の建築物です。国宝指定。

堂内の本尊は聖観音菩薩。薬師三尊と同じく白鳳期の仏像で、こちらも国宝指定。

なお、東院堂は、東塔の東、回廊の外にあります。見落としやすいのでご注意ください。

東院堂

食堂

食堂(じきどう)は、元々はお寺のお坊さんが食事をするためのお堂です。2017年に再建。

堂内中央には、色彩鮮やかな阿弥陀三尊の絵が置かれ、周囲の壁には、中国からの仏教伝来の様子が一面に描かれています。

食堂

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薬師寺のもう1つの伽藍、玄奘三蔵院伽藍

薬師寺には、白鳳伽藍の他に、もう1つ伽藍があります。

薬師寺の北側の境内に立つ、玄奘三蔵院伽藍です。

玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)とは、西遊記で知られる三蔵法師のことで、法相宗とのゆかりも深い人物。

その三蔵法師の遺骨が、伽藍中央に立つ八角円堂・玄奘塔に納められています。また、八角円堂の奥には、平山郁夫の渾身作「大唐西域壁画」があります。

玄奘三蔵院伽藍

薬師寺の基本情報

住所:奈良市西ノ京町457

拝観時間:9:00~17:00(受付は16:30まで)

拝観料:大人1000円 中高生600円 小学生200円

アクセス:近鉄西ノ京駅より徒歩すぐ

駐車場:有

ホームページ:法相宗大本山 薬師寺

薬師寺地図