のどかな景色が広がる、奈良・斑鳩(いかるが)の里。
斑鳩といえば法隆寺が有名ですが、その他にも、創建年代の古いお寺が数多く残ります。
その1つが、紅葉の名所・竜田川の東に立つ浄土宗のお寺、吉田寺(きちでんじ)。
「ぽっくり寺」という変わった別名を持つ古刹です。
ぽっくり往生のお寺
吉田寺の創建は、平安時代中期の987年、開基は、「浄土教の祖」とも呼ばれる名僧、恵心僧都(えしんそうず)と伝わります。
さて、この吉田寺には、古くから安楽往生(ぽっくり往生)の言い伝えがあります。
このお寺で仏さまにお祈りすると、下半身の世話をかけずに安らかに往生できるとか。
そこで付いた名前が「ぽっくり寺」、ご年配の参拝者も多いお寺です。

また、吉田寺では、毎年9月1日に、放生会(ほうじょうえ)が行われます。
仏教の不殺生戒に基づく法要で、多くの白鳩が境内で一斉に放たれる、なかなか盛大な行事。
「鳩逃がし法要」とも呼ばれています。
吉田寺の境内見どころ
お寺の入口には、山号「清水山」が掲げられた、こぢんまりとした山門。
門をくぐった先には、木々に囲まれた静かな境内が広がります。
その中心は本堂と多宝塔です。

本堂&阿弥陀如来
本堂は、入母屋造・本瓦葺き、正面幅五間の重量感のある和様のお堂。
広い本堂の中、一番奥には祀られているのが、吉田寺本尊の阿弥陀如来坐像です。
この阿弥陀如来は像高2.26m、一般に「丈六仏」と呼ばれる大きな仏像です。
平安時代後期の作で、国重要文化財に指定されています。
また、本堂では御朱印帳づくりの体験ができます。自分だけの「オリジナル御朱印帳」を作ることができますよ。
(要予約・詳細は吉田寺ホームページをご覧ください)

多宝塔
本堂の右横には、二層屋根の多宝塔。
下層は方形、上層は円形の塔。真言や天台のお寺ではおなじみの仏塔ですが、浄土宗のお寺では珍しいですね。
方三間の一般的な多宝塔で、高さは12mです。
この多宝塔は、室町時代中期の1463年の建立。国需要文化財に指定されています。
塔内には大日如来が安置されています。
普段は扉が閉じられていますが、放生会の時期など期間限定で開扉されます。

吉田寺の基本情報
住所:奈良県生駒郡斑鳩町小吉田1丁目1-23
参拝時間:午前9時~午後4時
参拝料:300円(境内のみ参拝の場合も必要)
アクセス:
(JR)法隆寺駅から徒歩20分
(JR・近鉄)王寺駅からバス利用、「龍田神社前」下車徒歩5分
駐車場:有
ホームページ:清水山 吉田寺