奈良の西大寺は、平城宮跡の西にある歴史ある寺院。
奈良時代の創建で、平城宮の東にある東大寺との対比で、西大寺と名付けられました。
また、東大寺などとともに、奈良の7つの大寺院「南都七大寺」の1つに数えられました。
奈良時代創建、現在は真言律宗の総本山
西大寺は、奈良時代、孝謙上皇の発願により創建されました。当時は、東大寺にも劣らない伽藍を構え、南都七大寺の1つに数えられました。
平安遷都の後は衰退し、境内も荒廃しますが、鎌倉時代に叡尊上人により再興されました。
現在は、叡尊上人を祖とする真言律宗の総本山です。

西大寺の境内見どころ
現在の西大寺は、お寺としては中規模で、境内は広すぎず狭すぎず、ほどよい広さ。
その境内に、本堂・四王堂・愛染堂が立ち、それぞれのお堂には貴重な仏像が安置されています。
本堂
江戸中期、または、後期の建築とされる本堂。国の重要文化財指定。
どっしりと安定感のある寄棟造のお堂です。正面の庇下など、所々に見事な彫刻が残ります。
堂内には、本尊の釈迦如来像をはじめ、多数の仏像を安置。特に、文殊菩薩を中心とする5体の仏像、文殊五尊像は必見です。

四王堂
元々、西大寺は、孝謙天皇の発願で四天王像を祀るために創建されたお寺。
四王堂はその時からの流れを汲む、歴史あるお堂です。
現在の建物は江戸時代の再建。本堂同様、寄棟造ですが、屋根の下に大きな裳階(もこし、庇のこと)があるため、二層の建物のように見えます。
現在の四王堂の中にも四天王像が勢揃い。ただ、堂内の中央に立つ、十一面観音立像がとても大きく、四天王よりもこちらの方に目が行きます。

愛染堂
愛染堂は、江戸時代に京都の旧近衛邸を移築したもので、入母屋造の仏堂です。この名前からもわかりますが、堂内に愛染明王を祀ります。
ここの愛染明王は普段は厨子の中に納められている秘仏、ただし年2回特別開扉が行われます。
愛染堂には他にも貴重な像があります。その1つが、西大寺中興の祖、叡尊上人像。
叡尊上人が生前に弟子に作らせたとされる像です。1280年の作で、国宝指定。

本堂前に残る東塔跡
南都七大寺の1つであった西大寺、奈良時代には、東大寺にも負けない伽藍を誇り、大きな塔も建っていたそう。
その塔の1つ、東塔の跡が今も残ります。本堂と愛染堂の前にある、石でできた大きな基壇がそれです。
当時はこの基壇の上に、四角五重塔が建てられていたそう。
本堂や愛染堂の拝観の際に、お堂の縁側から眺めてみましょう。大きな東塔跡の全体を見渡せます。

西大寺の基本情報
住所:奈良市西大寺芝町1-1-5
三堂共通拝観(本堂・四王堂・愛染堂):
(拝観時間)8:30~16:30(受付は16:00まで)
(拝観料)一般800円 中・高生600円 小学生400円
アクセス:近鉄西大寺駅より徒歩3分
駐車場:有
ホームページ:真言律宗総本山 西大寺