東大寺|聖武天皇創建、大仏だけではない文化財の宝庫(奈良名所巡り)

東大寺と鹿 寺院(奈良)

奈良の有名寺院の1つ、東大寺をご紹介。

多くの鹿が生息する奈良公園に囲まれた、「奈良の大仏」で知られるお寺です。

奈良時代、聖武天皇による建立。また、南都七大寺の1つにも数えられました。

現在は、華厳宗の大本山です。

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聖武天皇創建、大仏のお寺

奈良時代は、「仏教によって国家を護る」という鎮護国家の時代。天皇を中心とした朝廷の主導で、各地に、国分寺と呼ばれる寺院が建てられました。

そして、全国の国分寺を統べる総国分寺として、聖武天皇により創建されたのが、東大寺です。

その象徴は、当時の朝廷が総力を挙げて建立した、大仏と大仏殿。

また、境内の東西には、一説には高さ100mとも言われる七重の大塔を備えていたそう。

東大寺大仏側面

しかし、この東大寺も、興福寺など他の奈良の寺院と同様、過去に伽藍焼失の憂き目にあっています。

まずは源平動乱の時代。平氏による南都焼き討ちにより、東大寺は壊滅的な損害を受けました。

二度目は、戦国時代。畿内での争乱に巻き込まれて大仏殿が焼け落ちてしまいました。

そのため、東大寺では、一度目の焼失の後の鎌倉時代と、二度目の焼失の後の江戸時代に、それぞれ大規模な復興が行われています。

現在の東大寺に、鎌倉時代や江戸時代に再建されたものが多いのはそのためです。

東大寺大仏殿
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文化財の宝庫、東大寺

現在の東大寺の境内には緑の芝生が広がり、あちこちで奈良の鹿たちが草を食んでいます。

一方で、東大寺は、大仏殿をはじめとする建築物や貴重な仏像・宝物が残る、「文化財の宝庫」。

国宝の南大門のそばで、多くの鹿たちがのんびりと過ごすさまは、東大寺ならではの光景です。

では、東大寺を代表する建築物を中心に、境内の見どころをご紹介していきましょう。

東大寺と鹿

南大門

東大寺の正門にあたる巨大な二層の門。鎌倉時代の建築物で、国宝指定。

鎌倉時代に登場した新しい建築様式、大仏様(だいぶつよう)の典型例。太い貫(横材)がむき出しの豪壮な建造物です。

門の左右に立つ一対の金剛力士像は、それぞれ高さ8mを超える木造の巨像。奈良の有名仏師グループ、運慶一派による作、国宝指定。

東大寺南大門

大仏殿と大仏

南大門をくぐった先、回廊に囲まれた巨大なお堂は、東大寺の金堂。

大仏を安置するお堂であることから、一般には大仏殿と呼ばれます。

東大寺大仏殿

大仏殿の中央には、東大寺の本尊である大仏。正式名称は盧舎那仏座像、通称「奈良の大仏」。

大仏殿と同じく大仏も二度焼失しており、現在のものは、江戸時代中期に作られた三代目。ただし、台座など一部に奈良時代創建時の部分も残ります。

東大寺大仏殿|大仏を丸ごと覆う、世界最大級の木造建築(奈良名所巡り)
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東大寺大仏正面

二月堂

大仏殿の東にある二月堂は、お水取り(修二会)の行事で知られます。江戸時代に一度焼失したものの、すぐに再建されました。国宝指定。

二月堂本尊の十一面観音は、誰も見ることのできない「絶対秘仏」。

また、二月堂の二階は、誰でも登ることができます。ここは、奈良市内を一望できる眺望のよい場所です。

法華堂(三月堂)

二月堂のすぐそばにある法華堂は、三月堂とも呼ばれます。

奈良時代の建築物で、東大寺の中でも最も古い建物の1つ。国宝指定。

法華堂の中には、本尊の不空羂索観音をはじめ、国宝指定の仏像が数多く並びます。なかなかの見応えです。

戒壇堂

戒壇(かいだん)とは、仏教に帰依するための特別な儀式(授戒)を行うための場所。

東大寺の戒壇は、聖武上皇が、唐の名僧・鑑真から戒を受けた場所として歴史的に有名です。

現在の戒壇堂は江戸時代の再建。堂内には国宝の四天王像が安置されています。

東大寺戒壇堂

鐘楼

大仏殿の東に立つ鐘楼。鎌倉時代の建築物で、国宝指定。

また、鐘楼に吊り下げられている梵鐘は東大寺創建当時のもので、こちらも国宝指定。

鐘楼の中に入ることもできます。奈良時代から残る鐘を真下から眺めてみましょう。

東大寺鐘楼

転害門

転害門(てがいもん)は、東大寺の境内西の端に立つ八脚門。

法華堂とともに、東大寺境内で最古の部類に入る建物です。国宝指定。

大仏殿や法華堂とは少し離れ、目立たないところにありますが、これも貴重な文化財です。

東大寺転害門

正倉院

大仏殿の北にある正倉院(しょうそういん)は、聖武天皇や光明皇后の遺品など、奈良時代の貴重な宝物が保管されていた倉庫です。国宝指定。

江戸時代までは東大寺が管理していましたが、現在は、宮内庁の管理下にあります。

断面三角の木材を組み合わせて作られた、校倉(あぜくら)造でよく知られます。

また、正倉院に残されていた膨大な宝物(正倉院宝物)は、奈良国立博物館で開催される「正倉院展」で展示されます。

正倉院
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東大寺の基本情報

住所:奈良市雑司町406-1

拝観時間:

(大仏殿):(4月~10月)7:30~17:30 (11月~3月)8:00~17:00

(法華堂・戒壇堂):(通年)8:30~16:00

(東大寺ミュージアム):(4月~10月)9:30~17:30 (11月~3月)9:30~17:00

拝観料:大人・高中生800円 小学生400円(大仏殿・法華堂・戒壇堂・東大寺ミュージアムの4カ所それぞれで、個別に拝観料が必要)

アクセス:
(近鉄)奈良駅から徒歩20分
(バス利用)JR奈良駅・近鉄奈良駅から市内循環バス、「大仏殿春日大社前」下車徒歩5分

駐車場:無

ホームページ:華厳宗大本山 東大寺

東大寺地図