本興寺|伽藍は寺町最大規模、尼崎の法華宗大本山(兵庫名所巡り)

江戸時代には尼崎城が築かれ、城下町として栄えた尼崎。

昔の城下町エリアは、今は鉄道駅近くの繁華街。
しかし、西の一角には、寺町の風情ある町並みが残ります。

今回は、この寺町にあるお寺の1つ、本興寺(ほんこうじ)をご紹介。
寺町最大規模の伽藍を誇る、法華宗の大寺院です。

本興寺

スポンサーリンク

法華宗(本門流)の大本山

本興寺の開創は、室町時代中期の1420年で、開山は日隆聖人。

日隆聖人は、日本各地で精力的に布教活動した、法華宗のお坊さん。
この尼崎の本興寺をはじめ、京都・本能寺など、16ものお寺を建立しています。

現在の本興寺は、日隆聖人を祖とする法華宗の一派、本門流のお寺です。
また、本能寺などとともに、本門流の四大本山の1つです。

本興寺・境内風景

本興寺の境内見どころ

創建当初の本興寺は、現在よりも東の場所にありました。

しかし、江戸時代になり、そこに尼崎城が築かれることになったため、本興寺は城下町内に作られた寺町に移転しました。

現在の本興寺には、移転前の室町時代のものから、移転後の江戸時代初期に建てられたものまで、さまざまな仏堂が残ります。

尼崎の寺町の中では、最大規模の伽藍。
国重要文化財の三光堂・開山堂・方丈など、見どころの多い境内です。

本興寺伽藍

本堂

境内南に立つ大きな山門をくぐると、正面に大きなお堂が見えます。

これが、本興寺の本堂。
法華宗の本尊、三宝尊(さんぽうそん)を祀ります。

この本堂は、江戸時代後期、1827年に再建された建物です。

入母屋造、本瓦葺き、正面には庇付き、周囲には縁。
江戸期のオーソドックスな仏堂です。

本興寺本堂

祖師堂

本堂向かって右手に立つのは、祖師堂。
こちらも江戸時代末期、1852年の再建。

祖師とは法華宗の宗祖、日蓮聖人のこと。

ここは、日蓮聖人の像を祀るお堂で、他宗派の「御影堂」にあたります。

本興寺祖師堂

三光堂

一方、左手にあるのは、三光堂。
法華経信徒を守護する、法華宗独特の神、三光神を祀ります。

お寺にある建物ではありますが、正面には鳥居も立ち。神社の社殿に近いです。

なお、鳥居のすぐ後ろに見えるのは拝殿。
この拝殿の背後、隠れるように立つのが三光堂(本殿)です。

本興寺三光堂

三光堂は、三間社流造・銅板葺き、室町時代後期の建築物。
国重要文化財に指定されています。

手前の拝殿は、桃山時代の1597年(慶長2年)、豊臣秀吉、加藤清正による再建です。

本興寺三光堂拝殿

また、拝殿の右横には、一間一戸の小ぶりな向唐門があります。

小さな唐門ですが、これも、江戸時代前期に建てられた立派な文化財。

また、唐門の扉は普段閉じられていますが、門の隙間から拝殿奥の三光堂を垣間見ることができます。

本興寺三光堂唐門

鐘楼

三光堂の隣には、鐘楼(鐘掛け堂)があります。
江戸時代初期、1633年の建立。

古風な二階建ての建物です。
1階は袴腰、梵鐘がかけられた2階には高欄(手すり)が巡らされています。

本興寺鐘楼

開山堂

本堂の左奥にあるのは開山堂。
正面唐破風と左右の火灯窓が特徴的な建物です。

室町時代後期の建築物で、国重要文化財指定。

宗祖・日蓮聖人像を安置する祖師堂に対して、こちらはお寺の開山・日隆聖人の像を祀るお堂です。

堂内の日隆聖人像は、聖人自ら、存命中に製作を依頼したとも伝わる貴重な像。
室町時代の作で、こちらも国重要文化財の指定を受けています。

本興寺開山堂

方丈

本堂の背後にある大きな建物は、方丈(大方丈)。

寺町移転後、江戸時代初期の1617年(元和3年)に建てられました。

この方丈も、国重要文化財に指定されています。

本興寺方丈

宝物殿

また、境内の一角には宝物殿があります。
ここには、本興寺が所有する数々の貴重な寺宝が収蔵されています。

注目すべきは、宗祖・日蓮聖人所持と伝わる宝剣で、天下五剣の1つ、数珠丸(国重要文化財)。

なお、宝物館は普段は非公開。
ただし、毎年11/3(文化の日)の虫干会(大宝物展)において、一日限りで公開されます。

また、この虫干会では、三光堂や方丈の内部公開や、開山堂の日隆聖人像のご開帳なども行われます。

本興寺の基本情報

住所:兵庫県尼崎市開明町3丁目13番地

電話番号:06-6411-3217

アクセス:(阪神)尼崎駅から徒歩5分

駐車場:寺院周辺に駐車場有(その他、阪神尼崎駅の南にも市営駐車場有)

ホームページ:本興寺(法華宗本門流公式ページ内)

本興寺地図

スポンサーリンク