大阪府の南東部、田園地帯が広がる富田林(とんだばやし)は、南北に流れる石川の周囲に古くから存在する、歴史ある街です。
今回ご紹介する寺内町(じないまち)は、富田林の名所の1つ。
現在も古い民家が数多く残る、風情ある町並みが魅力です。
真宗寺院を中心に発展した町
寺内町とは、特に浄土真宗系の寺院を中心に作られた町のこと。
室町時代から戦国時代にかけて、浄土真宗が全国的に広がるにつれ、日本各地に寺内町が作られました。
その中でも、昔の町並みを今も残している場所の1つが、この富田林寺内町です。

富田林寺内町は、興正寺別院(富田林御坊)を中心に開かれた町。
市内を南北に貫く大河・石川のそば、少し高い台地の上に築かれています。
町の中には細い通りが縦横にのび、通り沿いには古い町屋が並びます。江戸時代の民家も数多く残る、風情ある町並みです。
富田林寺内町は、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されています。

寺内町の見どころ
富田林寺内町に残る古民家の多くは非公開ですが、一部の建物・施設については一般に公開されています。
寺内町めぐりの際に訪れておきたいスポットをいくつかご紹介しましょう。

興正寺別院
富田林寺内町の中核となった浄土真宗のお寺です。
南北に延びる通りに沿って続く見事な築地塀(ついじべい)。塀の途中には、薬医門形式の古い山門。
山門の左右に立つ鐘楼と鼓楼もそれぞれ個性的ですね。
ここは、寺内町を代表する風景の1つです。

境内の拝観もできます。
本堂は、江戸時代初期、寛永年間の建築物。浄土真宗のお寺ですので、ご本尊は阿弥陀如来です。
また、本堂をはじめ、鐘楼、鼓楼、山門など、興正寺別院の主要な建物は、国の重要文化財に指定されています。

旧杉山家住宅
ここは、寺内町が成立して以来の名家、杉山家の旧宅。歌人・作家の石上露子の生家としても知られます。
名家にふさわしい、2階建ての大きな建物。江戸時代中期の建築で、寺内町の中では最も古い町屋です。国の重要文化財に指定されています。

現在は富田林市が管理しており、建物内部は一般に公開されています。
1階には広い土間。その奥にはいくつもの畳敷きの部屋が並びます。
また、階段を登って2階に上がれば、周囲に広がる寺内町の美しい町並みを眺めることもできます。

じないまち展望広場
高台に立つ寺内町、その中でも特に眺望のよいスポットが、寺内町南東の一角にあるこの展望広場。
東に広がるのどかな田園地帯、さらにその先、奈良県との境に立つ山々も一望できます。
じないまち展望広場には、休憩室、自動販売機、トイレなどもあります。寺内町めぐりで歩き疲れたときの休憩にもちょうどよい場所です。

富田林寺内町の基本情報
住所:大阪府富田林市富田林町
電話番号:0721-26-0110 (じないまち交流館)
アクセス:(近鉄)富田林駅から徒歩7分