大阪・富田林にある真言宗智山派のお寺、明王寺。
不動明王を本尊とするこのお寺は、一般には、「瀧谷不動」の名で知られます。
その創建は1200年前とも伝わり、古くから厄除けなどの祈祷で知られる、富田林の古刹です。
戦乱の焼失を免れ、今も残るお不動さま
このお寺のはじまりは、平安時代初期の9世紀、空海(弘法大師)が、嶽山の龍泉寺参籠の折りに開いた道場と伝わります。

しかし、その長い歴史の中で、龍泉寺同様、中世の戦乱でたびたび伽藍を失っています。
慶長年間(桃山時代~江戸時代初期)にようやく再興。その後も再建が続き、現在に至ります。
ただし、ご本尊の不動明王は、度重なる戦乱の中でも焼失を免れました。古くから崇敬を受け続けてきたお不動さま、今も本堂に祀られています。
滝谷不動の不動明王は「日本三不動」の1つとも言われます。

瀧谷不動尊の境内見どころ
現在の瀧谷不動の境内は、東西に走る通りを挟んで、北側と南側に分かれています。
北側は本堂のある境内の中心。また、山の斜面に作られた南側には、三宝荒神堂などの諸堂が並びます。
なお、本尊・不動明王の縁日は毎月28日。この日は、周辺に露店が並び、境内は大勢の参拝客で賑わいます。

境内北側(本堂・多宝塔)
北側エリアの中心に立つ本堂は、明治30年に建てられました。
堂内には、ご本尊の不動明王と、脇侍の矜羯羅童子(こんがらどうじ)・制多迦童子(せいたかどうじ)が安置されています。
「目の神様」とも呼ばれ、特に眼病治癒の御利益でも知られます。
不動明王と脇侍二体は平安時代後期(11世紀末)の作で、国重要文化財の指定を受けています。
ご本尊は秘仏。ただし、毎月28日の縁日にご開扉されます。
また、不動明王といえば「護摩」。本堂では、毎日、時刻を定めて護摩祈祷が行われています。厄除けなどの祈祷申し込みは、寺務所で受け付けています。

本堂の左側にあるのは法楽殿。
ここは、交通安全の祈願所です。お堂の前に車が止められ、交通安全の祈祷が行われています。

その左には観音堂。慶長年間の寺院再興時に建てられたもので、滝谷不動の中でも特に古い建物です。
今の本堂が建てられる以前は、このお堂が本堂として使われていました。現在は、聖観音菩薩が祀られています。

本堂背後の裏山には朱色の二層の塔が立っています。これは多宝塔、昭和59年に建てられました。
塔内には、真言宗など密教における絶対仏、大日如来が安置されています。

多宝塔は境内北側の高所にありますが、階段で塔の近くまで登ることができます。
登った先は、境内全域、そして、その背後の山々まで一望できる、好眺望のスポットです。

境内南側(滝不動堂・三宝荒神堂)
滝谷不動では、先ほどご紹介した本堂ご本尊の不動明王の他にも、境内のあちこちに、お不動さまが祀られています。
例えば、境内の南側、右手(西側)の下り坂の途中にある一願不動堂。ここには、水かけ不動が祀られています。

さらに、坂をさらに下って奥へ進むと、滝の音だけが聞こえる静寂な空間が広がります。
ここにはあるのは、滝行場と滝不動堂。滝不動堂には、石造りの不動明王が祀られています。

境内南側のエリアには、他にもいろいろな仏さまを祀るお堂が山の斜面に並びます。
お時間ありましたら、石段を登ってお参りしておきましょう。
まずは石段途中にある扇形のお堂。これは西国三十三所堂(お砂踏み霊場)。近畿各地に点在する、西国観音霊場ご本尊の観音さまが、ずらりと勢揃い。

石段の終点に立つのは、三宝荒神堂。「かまど」の神さまとしても知られる三宝荒神を祀ります。
ここも眺望のよいスポット。北を眺めると、本堂の真上にそびえる多宝塔の姿がよく見えます。

瀧谷不動明王寺の基本情報
住所:大阪府富田林市彼方1762
アクセス:(近鉄長野線)滝谷不動駅から徒歩15分
駐車場:有
備考:境内自由・縁日は毎月28日
ホームページ:瀧谷不動明王寺