大阪・藤井寺のお寺といえば、西国五番・国宝千手観音の葛井寺が有名。
しかし、この藤井寺には、もう1つ、国宝指定の仏像が残るお寺があります。
それが、今回ご紹介する道明寺(どうみょうじ)。
仁和寺を総本山とする真言宗御室派の尼寺。菅原道真とのゆかりの深いお寺としても知られます。
菅原道真ゆかりのお寺
道明寺の周辺一帯は、その昔、古代氏族の土師(はじ)氏の本拠であったところ。
その土師氏の氏寺として建てられたのが、道明寺の前身、土師寺です。
また、土師氏は、菅原道真の出身氏族・菅原氏の祖先にあたります。
土師寺には、道真のおば・覚寿尼が暮らしていた時期もありました。
道真が太宰府へ左遷される際には、ここに立ち寄っておばを訪れたそう。
そのゆかりの深さから、道真の号「道明」をとって道明寺と呼ばれるようになりました。

また、現在でも桜餅などの和菓子の原料に用いられる、「道明寺粉」「道明寺糒(ほしい)」の発祥の地としても知られます。
道真のおば、覚寿尼が作った糒がその起源とされています。

なお、道明寺の近くには、菅原道真を祀る道明寺天満宮があります。
ともに菅原道真とのゆかりが深い、よく似た名前のお寺と神社。それもそのはず、その昔は、両者は一体の存在でした。
しかし、明治の神仏分離令により、道明寺は天満宮と分離。
天満宮の西側に移転して現在に至ります。


道明寺の境内見どころ
では、現在の道明寺の境内をご紹介していきましょう。
まずは、境内入口に立つ山門。一間一戸の小ぶりな二階建て門です。
ただし上層には高欄(手すり)付き。格式高い楼門形式の門です。

山門をくぐった先は、それほど広くはないものの、きれいに整えられたこぢんまりとした境内。
その中に、本堂、護摩堂、大師堂などのお堂が残ります。

その境内の中心である本堂は、入母屋造・本瓦葺き、周囲には縁がめぐらされた、伝統的な建築様式の仏堂です。
この本堂には多くの仏像が残されていますが、注目は、道明寺ご本尊の木造十一面観音立像。
平安時代初期、9世紀の作とされる貴重な仏像です。高さ1mほどの一本造の像で、菅原道真手彫りとも伝わります。
ふっくらとした顔つきに、意外にがっしりとした体格が印象的な観音さま。国宝に指定されています。

なお、道明寺の本堂は普段は非公開で、定められた日にのみ内部拝観できます。
その本堂拝観日は、通常は、毎月18日と25日。
堂内安置のご本尊、国宝十一面観音も、本堂拝観日にご開帳されます。

道明寺天満宮へもお参りを
道明寺を訪れる際には、東隣の道明寺天満宮にもお参りを。
その名からも推測されるように、歴史的に道明寺との関係も深い神社です。
天満宮ですから、その主祭神はもちろん菅原道真。
菅原道真遺愛の菅公遺品(国宝指定)を所蔵していることで知られます。
また、藤井寺を含む南河内地方を代表する、梅の名所でもあります。


道明寺の基本情報
住所:大阪府藤井寺市道明寺1丁目14−31
拝観情報:
(本堂拝観日)毎月18日・25日、及び、正月三が日
(拝観時間)午前9時~午後4時半
(拝観料)500円
アクセス:(近鉄南大阪線)土師ノ里駅、または、道明寺駅から徒歩7分
駐車場:有
ホームページ:道明寺