何百万年前も大昔、現在の兵庫県北部・但馬地方では、火山活動が活発な時期がありました。
そのときの溶岩が固まってできた火山岩は、玄武岩(げんぶがん)と呼ばれています。
この玄武岩の名前の由来となったのが、円山川の河岸に残る玄武洞(げんぶどう)。
玄武岩の絶壁と大きな洞窟が残る、但馬地方を代表する名所の1つ。
国の天然記念物に指定された景勝地でもあります。
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玄武洞とは?
玄武洞の形成は、今から約160万年前と推定されています。
火山の噴火で流れ出た溶岩(マグマ)は、地表で冷却され固化します。
その後、河川の浸食により火山岩(玄武岩)の巨大な壁が露出。これが玄武洞です。
玄武洞の一番の特徴は、壁の表面に見られる規則正しい模様。
これは、溶岩が冷却する際に生じる、節理(せつり)と呼ばれる割れ目です。
この節理模様や岩石の断面などが、中国伝説の四神の1つ「玄武」を思い起こさせるということで、江戸時代に付いた名前が「玄武洞」。
さらに、この玄武洞の火山岩は、玄武岩と呼ばれるようになりました。
なお、玄武洞には、その名からもわかるように大きな洞窟が残ります。
ただ、これは自然にできたものではありません。
露出した石壁は格好の採石場となり、江戸時代に開発が盛んになりました。
壁に残る洞窟は、その当時に作られた人工的な採掘穴です。
玄武洞公園の見どころ
玄武洞の周囲には、他にも4つの洞窟があります。
青龍洞(せいりゅうどう)、白虎洞(びゃっこどう)、南朱雀洞(みなみすざくどう)、北朱雀洞(きたすざくどう)です。
玄武洞を含めた合計5つの洞窟とその周辺は、玄武洞公園として整備されています。
また、この玄武洞公園は、世界ジオパークに加盟する、「山陰海岸ジオパーク」のジオサイトの1つです。
玄武洞
公園の入口正面に見える、巨大な火山岩の絶壁が玄武洞。
5つの洞窟の中で一番の大きさを誇るこの玄武洞、公園の中心的な存在です。
国の天然記念物にも指定されています。
壁のあちこちに見える、細長い節理(割れ目)が規則的に並んだ模様が特徴的。
多角柱の形をしたこの節理、柱状節理と呼ばれています。
また、絶壁の下部には、大きな洞穴が残ります。
昔の採掘穴ですが、掘られてから何百年も経た今では、人工的なものとは思えないほど岩の景観と調和しています。
青龍洞
玄武洞の右手にあるのが青龍洞。
この青龍洞も巨大な石壁で、玄武洞に次ぐ大きさです。
縦にのびる細長い無数の柱状節理が、美しい模様を描いています。
玄武洞と同様、この青龍洞も、国の天然記念物に指定されています。
白虎洞
玄武洞の左手には、白虎洞があります。
ここの壁にも、規則的な模様あり。
特に、柱状節理が水平にのびているところが大きな特徴です。
南朱雀洞と北朱雀洞
白虎洞の先には、南朱雀洞と北朱雀洞があります。
玄武洞や青龍洞と比べるとサイズは小さいですが、ここにも立派な柱状節理が残ります。
南朱雀洞では、縦方向の節理模様を間近で観察できます。
公園内の一番端、奥まったところにある北朱雀洞。
柵から洞窟までちょっと離れており少々見えにくいのですが、洞窟の奥の壁に柱状節理が見えます。
玄武洞ミュージアム
なお、玄武洞公園の入口近くには、玄武洞ミュージアムという博物館があります。
近年(2018年)にリニューアルされ、展示内容が一新されました。
玄武岩などの岩石・鉱物についての展示の他、化石やジオパークに関する資料展示も充実。
レストランやショップも併設されています。
入館は有料(大人800円・小人400円・幼児300円)。
玄武洞公園の基本情報
住所:兵庫県豊岡市赤石
電話番号:0796-23-3821(玄武洞ミュージアム)
アクセス:
(車利用)北近畿豊岡自動車道・ 日高神鍋高原ICから20km
(公共交通機関利用)JR城崎温泉駅からタクシー利用、約10分
駐車場:有(玄武洞ミュージアム)
備考:入園自由(ただし、玄武洞ミュージアムは入館有料)
ホームページ:玄武洞公園(城崎温泉観光協会) 玄武洞ミュージアム