中央に五層の天守閣がそびえる大阪城公園。その天守閣の西側に広がるのが、西の丸庭園です。
ここは、その名の通り、昔の大坂城の西の丸があった場所。今は、美しい芝生が一面に広がる開放的なエリアです。
本丸に次ぐ重要エリア、西の丸
豊臣秀吉が築いた巨城・大坂城。その城内は、本丸や二の丸など、大小さまざまな曲輪(くるわ)に分かれていました。
その中で、西の丸は本丸に次ぐ重要曲輪で、豊臣時代の大坂城では、秀吉の弟、豊臣秀長がここに屋敷を構えました。
秀吉の正妻・高台院(ねね)も一時期ここに住んだそう。
また、江戸時代に幕府によって再建された徳川大坂城では、西の丸には、直轄地大坂を治める幕府の要職、大坂城代の屋敷が置かれました。

芝生広がる西の丸庭園
一方、現代の西の丸は、芝生が広がる開放的な公園です。
園内からは、東側にそびえる天守閣の他、周りに林立する大阪のビル群もよく見えます。

また、ここは大阪を代表する桜の名所の1つ。春は花見客で賑わいます。
初夏~秋は、子供たちの遠足やご家族でのピクニックにも最適。
芝生の上に腰を下ろして天守閣を眺めながら、お弁当を広げる光景をよく見かけます。

昔の大坂城の遺構
一方で、西の丸庭園には、度重なる空襲による焼失を免れた、徳川時代の大坂城の遺構がいくつか残されています。
特に注目は、西の丸の外周近くに立つ次の3つの建造物。園内をひとめぐりしながら訪れてみましょう。
千貫櫓
千貫櫓(せんがんやぐら)は、西の丸庭園の西南に立つ二層の櫓。江戸時代初期、1620年の建築、国の重要文化財指定。
この千貫櫓は、大坂城の正面・大手口を守る重要な櫓です。

大手門の外側から見ると、その重要性がよくわかります。
千貫櫓は、大手門の左手にあって少し張り出しています。そのため、大手門に寄せてきた敵に対して、側面から鉄砲や矢を浴びせることができます。

乾櫓
乾櫓(いぬいやぐら)は、西の丸庭園の北西の隅に立つ櫓。こちらも1620年の建築物で、国の重要文化財指定。
千貫櫓と同じくこちらも二層の櫓ですが、その形はかなり変わっています。西の丸の北西角の形状に沿ったL字形の櫓です。

デザインもなかなか個性的です。堀の外側からも眺めてみましょう。
櫓の屋根にはいくつもの破風(はふ)がついています。石垣の隅に立つその姿からは、城の櫓というよりは邸宅のような印象を受けます。

焔硝蔵
西の丸庭園の北東に残る焔硝蔵(えんしょうぐら)は、鉄砲や大砲に使う火薬類の貯蔵庫です。
こちらは1685年の建築で、国の重要文化財指定。
日本にある城の中でも、焔硝蔵が現存しているのはここだけです。

今も昔も、爆発の危険性のある火薬の貯蔵には細心の注意が必要です。実際、大坂城では、別の焔硝蔵が大爆発を起こしたこともありました。
その教訓から、火薬の爆発にも耐えうるよう、この焔硝蔵の壁は分厚い石造りとなっています。

大阪迎賓館の「黄金茶室」
西の丸庭園に広がる芝生の奥に、御殿風の建物が立っています。
これは、大阪迎賓館。1995年のAPEC大阪開催の際に建てられました。
「迎賓館」という名を残しますが、現在は一般の方でも利用可能で、結婚式や宴会などに使用されています。

また、迎賓館の東側部分は休憩所となっており、誰でも無料で利用できます。
この休憩所には、秀吉時代の茶室を模した「黄金茶室」があります。写真撮影ができ、観光客にも人気のスポットです。

大阪城西の丸庭園の基本情報
住所:大阪市中央区大阪城2(大阪城公園内)
開園時間:(3月~10月)9:00~17:00 (11月~2月)9:00~16:30
入園料:大人200円(中学生以下は無料)
定休日:毎週月曜日 年末年始
アクセス:
(大阪メトロ)谷町四丁目駅から徒歩10分 森ノ宮駅から徒歩15分
(京阪)天満橋駅から徒歩10分
(JR)森ノ宮駅から徒歩15分
ホームページ:大阪城パークセンター