奈良の斑鳩は、その昔、聖徳太子が暮らした地。今も、この斑鳩には、法隆寺をはじめ、聖徳太子ゆかりの名所が点在しています。
そのうちの1つが、今回ご紹介する法起寺(ほうきじ・ほっきじ)。
聖徳太子の子、山背大兄王による創建と伝わります。のどかな里の風景に溶け込んだ、日本最古の三重塔でも知られるお寺です。
この法起寺は、法隆寺とともに、世界遺産「法隆寺地域の仏教建造物」に登録されています。
聖徳太子ゆかりの古寺
法隆寺の北東に立つ法起寺。その創建は飛鳥時代、法隆寺創建から少し後の638年です。
ここは、聖徳太子の時代、太子が法華経を講じた宮殿(岡本宮)があったとされる場所。
その後、聖徳太子の遺命により、太子の子である山背大兄王(やましろのおおえのおう)が寺院に改めたのが、法起寺のはじまりと伝わります。

聖徳太子とのゆかりが深く、また、歴史的に法隆寺とのつながりも強い法起寺。
今もその関係は続き、現在は、法隆寺を総本山とする聖徳宗のお寺です。

法起寺の境内見どころ
現在の法起寺はそれほど大きくはないお寺ですが、境内には古い建物がいくつか残ります。
注目は、国宝の三重塔。
お寺の外からも眺められるこの古塔、周辺ののどかな風景とよく調和しています。
また、秋には、法起寺の周辺にコスモスが咲き乱れます。ピンクや白の美しい花と古塔のコラボレーションも見事です。

三重塔
三層屋根がバランスよく配置された、美しい三重塔。
706年の建築、日本最古の三重塔とされ、国宝に指定されています。
二重目・三重目の周りに取り付けられた、茶色の高欄(手すり)が特徴的。
これらの高欄は、江戸時代の改築で一時期失われておりましたが、昭和期の大規模修理の際に復元されました。
法隆寺五重塔、法輪寺三重塔とともに、「斑鳩三塔」と総称されています。

講堂
三重塔の奥に立つ講堂。こちらは江戸時代、1694年の再建です。
十一面観音を安置したお堂であることから、観音堂とも呼ばれます。
屋根の形状がやや中国風。古の和の雰囲気を醸し出している三重塔とはかなり雰囲気が異なります。

聖天堂と収蔵庫
法起寺にはその昔は金堂があったようですが、現在はありません。
昔の金堂があった跡には、いまは聖天堂というお堂が立っています。この聖天堂は、江戸時代・幕末の1863年の再建です。
聖天堂の背後には、法起寺の収蔵庫があります。
ここには、昔の講堂本尊、十一面観音像(平安時代、国重要文化財指定)をはじめ、多くの仏像が収蔵されています。
収蔵庫の中に入ることはできませんが、前面がガラス張りとなっており、外から仏像を拝むことができます。

法起寺の基本情報
住所:奈良県生駒郡斑鳩町岡本1873
拝観時間:(2/22~11/3)8:00~17:00 (11/4~2/21)8:00~16:30
拝観料:大人・大学生・高校生500円 中学生400円 小学生300円
アクセス:
(JR)大和小泉駅から徒歩25分 法隆寺駅から徒歩40分
(バス利用)近鉄郡山駅から法隆寺前行バス「法起寺前」下車すぐ
駐車場:なし
ホームページ:法起寺(法隆寺ホームページ内)