昔の酒蔵や町屋が残る、風情ある町並みで知られる、京都・伏見桃山。
今回ご紹介する長建寺は、この伏見桃山のお寺の1つ。
和の雰囲気漂う町の中でよく目立つ、中国風の山門が目印です。
昔の酒蔵が並ぶ伏見桃山のお寺
長建寺は、伏見桃山の南端の位置にあります。
濠川(宇治川流派)の南岸、川を挟んで月桂冠大倉記念館の裏手にあたります。
お寺の目の前には、風情ある伏見桃山の景色が広がります。
柳の枝が風でたおやかに揺れる川沿いの道。穏やかな川の流れに船が浮かび、向こう岸には風情ある昔の酒蔵が並びます。


長建寺の見どころ
長建寺は、江戸時代中期の1699年、「中書島」と呼ばれるこの辺り一帯の開発にあわせて建てられました。
現在は、真言宗醍醐派のお寺です。
こぢんまりとした境内。しかし、正面の山門をはじめ、なかなか見どころの多いお寺です。
中国風のお寺入り口
長建寺の入口は、一般的な京都のお寺とはかなり感じが違います。
正面に立つ山門は、朱塗りの二階建て門。一般には楼門と呼ばれる形式です。
門の横の土塀も鮮やかな朱色です。

股を開いたような形の1階部分の上に、高欄(手すり)付きの2階部分と小ぶりな屋根。
中国・明代の建築様式を取り入れた門で、竜宮門とも呼ばれます。
和の雰囲気を醸し出す町の風景の中で、このお寺の中国風の入口はかなり目立っています。

鐘のない鐘楼
山門をくぐった先、左手に立つ鐘楼。
その昔、ここには大きな鐘が吊られており、伏見に来港する舟にも時を知らせていたそう。
しかし、残念ながら、太平洋戦争での金属供出のため鐘はつぶされ、現在ここには鐘はありません。

この鐘楼は、現在、みくじ舎として使われています。
「みくじ」とはおみくじのこと。
長建寺のおみくじは「和歌のおみくじ」としてよく知られています。

ご本尊は弁財天
境内の奥には本堂があり、長建寺のご本尊・弁財天が祀られています。
京都にはさまざまなお寺がありますが、弁財天を祀るお寺はかなり珍しいです。
この弁財天は秘仏ですが、毎年正月元旦から15日間に限りご開帳されます。

手水は伏見の名水
伏見は、名水で知られる土地です。
伏見桃山にも、「御香水(ごこうすい)」(御香宮神社)、「さかみづ」(月桂冠大倉記念館)、「伏水(ふしみず)」(黄桜記念館)などがあります。
この長建寺にも名水あり、その名は「閼伽水(あかみず)」。
場所は本堂前の左横。手水としても使われています。

長建寺の基本情報
住所:京都市伏見区東柳町511
参拝時間:9:00~16:00(夏期は16:30閉門)
アクセス:
(京阪)中書島駅から徒歩3分
(近鉄)桃山御陵前駅から徒歩12分
(JR)桃山駅から徒歩20分
備考:境内参拝自由