古代、聖徳太子の宮殿があったことで知られる、斑鳩(いかるが)の地。
ここには、今も、太子ゆかりの古寺がいくつか残されています。
その1つが、法隆寺東院伽藍の隣に立つ尼寺、中宮寺(ちゅうぐうじ)。
穏やかな微笑みの、国宝・菩薩半跏像でも知られます。
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聖徳太子創建の尼寺
中宮寺は、飛鳥時代の聖徳太子が、その母・穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとのひめみこ)のために創建したお寺と伝わります。
また、代々、女性が住職を務めてきた、長い歴史を誇る尼寺です。
なお、創建当初のお寺は、現在の境内の東にあり、塔や金堂などの伽藍を備えた大寺院であったそう。
中世以降は長く衰退の時期が続きましたが、江戸時代に入り、法隆寺の子院に境内を移して再興されました。
現在は、法隆寺を本山とする聖徳宗のお寺です。
現在の中宮寺の見どころ
現在の中宮寺は、法隆寺東院伽藍のすぐ近くにあります。
ただ、その拝観入口は東院伽藍の奥。
少しわかりづらいかもしれませんので、ちょっとご説明します。
まずは、東院伽藍の西門をくぐります。
その先、正面に、夢殿を中心とした東院伽藍がありますが、中宮寺へ行くならここには入らず、左へ向かいます。
すると、目の前に大きな東院鐘楼が見えます。その右奥に中宮寺の入口があります。
中宮寺にはいくつか建物がありますが、拝観できるのは、境内中央に立つ本堂、ただ1つ。
この本堂は、戦後の1968年(昭和43年)の建立。
全体としては和風ながら、池の中に立つ斬新なデザインの近代建築です。
建物としてはまだ新しい本堂。
しかし、その中には、古くからこのお寺に伝わる、貴重な文化財が残されています。
一番の注目は、堂内正面に祀られている中宮寺本尊、菩薩半跏像(半跏思惟像)。
飛鳥時代の仏像で、国宝に指定されています。
右足を左足の上に組んだ、半跏(はんか)姿の菩薩さま。
指先をほほに軽く触れ、穏やかに微笑みながら思案するお姿も印象的です。
中宮寺跡(中宮寺跡史跡公園)
中宮寺の東、400mほど離れたところに、昔の中宮寺の跡があります。
お時間に余裕がありましたら、こちらにも足をのばしてみましょう。
創建当時の大寺院ぶりを思わせる広大な敷地。
現在は国の史跡に指定され、「中宮寺跡史跡公園」として整備されています。
この中宮寺跡では、発掘調査の結果、塔や金堂などの跡が発見されました。
園内中央にある土壇がそれで、土壇の南側が塔跡、北側は金堂跡です。
塔と金堂が南北に並ぶレイアウトは「四天王寺式伽藍配置」とも呼ばれ、四天王寺など古代寺院でよく見られる伽藍配置です。
なお、周りが開けたこの公園は、のどかな斑鳩の里の風景を楽しめる場所の1つ。
園内の休憩所では、遠くに、法隆寺五重塔・法起寺三重塔・法輪寺三重塔の「斑鳩三塔」を眺めることができます。
聖徳太子ゆかりの古寺めぐり
また、斑鳩には、この中宮寺の他にも、聖徳太子とのゆかりの深い古寺が残ります。
のどかな風景が広がる里の中、古寺めぐりを楽しんでみませんか。
法隆寺
中宮寺の西に広い境内を構える法隆寺。
四天王寺とともに、聖徳太子が創建したお寺の代表格です。
境内には、金堂・五重塔などの西院伽藍、夢殿を中心とする東院伽藍など、数多くの古い木造建築が残ります。
また、「法隆寺地域の仏教建造物」としてユネスコ世界遺産にも登録されています。
(詳細は、「法隆寺」のページをご覧ください)
法起寺
中宮寺の北東にある法起寺。
聖徳太子の子、山背大兄王(やましろのおおえのおう)による創建と伝わります。
境内には、8世紀初めの建立とされる、日本最古の三重塔が残ります。
また、法隆寺とともにユネスコ世界遺産にも登録されています。
(詳細は、「法起寺」のページをご覧ください)
法輪寺
中宮寺の真北にあるのは、法輪寺。
その創建については諸説ありますが、法起寺と同様、山背大兄王による創建説が有力です。
この法輪寺にも戦前まで古い三重塔がありましたが、落雷で焼失。現在の三重塔は昭和期の再建です。
(詳細は、「法輪寺」のページをご覧ください)
中宮寺の基本情報
住所:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北1丁目1−2
電話番号:0745-75-2106
拝観時間:
(10/1~3/20)午前9時~午後4時 (3/21~9/30)午前9時~午後4時半
(拝観受付終了は15分前)
拝観料:大人600円 中学生450円 小学生300円
(法隆寺参拝の場合は割引あり)
定休日:無休
アクセス:
(JR)法隆寺駅から徒歩25分
(バス利用)JR法隆寺駅、または、JR・近鉄王寺駅からバス乗車、「法隆寺前」バス停下車徒歩8分
駐車場:無
ホームページ:中宮寺