大阪・天王寺の人気名所、天王寺公園。
園内には、天王寺動物園をはじめ、史跡・茶臼山古墳、大阪市立美術館など、見どころたくさん。
大人から子供まで年齢問わず楽しめる場所です。
今回は、そんな天王寺公園の見どころを1つご紹介。賑やかな公園の奥に広がる閑静な日本庭園、慶沢園(けいたくえん)です。
旧財閥・住友家のお庭
その昔、現在の天王寺公園内の茶臼山一帯は、旧財閥の1つ、住友家が所有していました。
今の大阪市立美術館の場所に立っていたのは、住友家の本邸。
1918年(大正7年)、この本邸の庭園として、邸宅のすぐ隣に作られたのが慶沢園です。
住友家の本邸は、その後、住吉(現・神戸市東灘区)へ移転します。その際に、慶沢園を含む茶臼山一帯の敷地は、大阪市に寄付されました。
現在の慶沢園は天王寺公園の一部として大阪市が管理。一般にも公開されています。

林の中を歩きながら池をひとめぐり
慶沢園は、賑やかな天王寺公園の奥にたたずむ、静かな日本庭園。
背後にはあべのハルカス。その近代感と、純和風のお庭の雰囲気とが対照的です。
なお、日本庭園といっても、お寺にあるようなこぢんまりとしたお庭とはかなり違います。
元は住友家の私的な庭園ではありますが、江戸時代の大名庭園にも匹敵するほどの広さを誇ります。

園内中央に広がる池は、大池と呼ばれます。池の中では、鯉が優雅に泳ぎ、亀がのんびり甲羅干し。
大池には大小の島が浮かんでいます。その中でも、真ん中にある一番大きな島、中島には、見事な黒松が配されています。

池の周囲には遊歩道がぐるりと巡らされています。
こう書くと、一般的な池泉回遊式の庭園を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、この慶沢園は少し違います。

池を取り囲むのは、木々が生い茂る林。その林の中に遊歩道が通っています。
林の中を歩きながら池の周りをひとめぐり。このような形式のお庭は、林泉回遊式庭園と呼ばれます。
木々の合間から垣間見える池の景色が、池泉回遊式とは違った雰囲気を醸し出しています。

自然感あふれるお庭の中、池の畔に置かれた大石や水しぶきを上げる小滝が適度なアクセントとなっています。
ところどころに配された石橋や石灯籠も、周囲の景色と見事に調和。
池の背後に見える大阪市立美術館の白い洋館姿が、うまい具合に借景となっています。

途中には四阿(あずまや)や休憩所もあります。
急がずのんびりと、疲れを感じたら腰を下ろして休憩を。
慶沢園は、大阪市街のど真ん中にありながら、緑豊かで自然を十二分に感じることができる、静かなお庭。
ゆっくりとした時間の流れを感じながら、過ごしたい場所です。

慶沢園の基本情報
住所:大阪市天王寺区茶臼山町1−108
開園時間:午前9時半~午後5時
休園日:月曜日(祝祭日の場合は翌日休園)、年末年始(12/29~1/1)
入園料:大人300円 大学生・高校生200円 中学生以下無料
アクセス:
(JR・大阪メトロ)天王寺駅から徒歩5分
(近鉄)大阪阿部野橋駅から徒歩8分