真言宗の祖・弘法大師空海が創建したとされるお寺は全国にありますが、大阪の太融寺(たいゆうじ)もその1つ。
平安時代の嵯峨天皇の勅願・弘法大師の建立と伝わる、由緒あるお寺。
現在は、高野山真言宗の準別格本山です。
繁華街の中に立つ古寺
太融寺は、平安時代初期の821年の創建と伝わる歴史ある古寺。
また、嵯峨天皇の皇子で、左大臣も務めた源融(みなもとのとおる)により、立派な伽藍が造営されました。
しかし、大坂の陣・大坂城の落城の際の戦火で伽藍は全焼。
江戸時代に再建されたものの、太平洋戦争の大阪大空襲で再び焼失しました。

戦後、大阪の復興とともに再建された太融寺。現在のお寺は、大阪・キタの繁華街の中にあります。
ビルに囲まれた境内、しかし、その中は意外にも静か。
賑やかな街の喧噪から隔絶された、閑静な空間です。

太融寺の境内見どころ
戦時中の空襲で伽藍をすべて失った太融寺。
本堂をはじめとする現在の建物は、戦後の再建です。

まずは本堂へお参りを
境内中央に立つ入母屋造のお堂が本堂。昭和35年に再建されました。
堂内には、太融寺のご本尊・千手観音菩薩像が祀られています。
この千手観音は、平安時代の作とされ、嵯峨天皇の念持仏とも伝わります。
大阪大空襲による焼失も免れた、市内では貴重な古仏です。

境内ひとめぐり
本堂にお参りしたら、境内をぶらりとひとめぐりしてみましょう。
それほど広くはない太融寺の境内。しかしながら、各所にちょっとした見どころが点在しています。
まずは、境内の東側。ここには、大師堂や護摩堂、一願堂などが並びます。

一方、境内の西側は、大きな本堂の陰に隠れるように存在する、静かな空間。
ちょっと狭い場所ではありますが、ここには、小ネタスポットがぎゅっと集まっています。

まずは、境内西北の角にひっそりと残る、淀殿の墓。
淀殿は、豊臣秀吉の側室で、豊臣秀頼の母でもあった女性。大坂城の落城時に、秀頼とともに自害しました。
その遺骨は大坂城の近くに葬られていましたが、明治時代にここに移されました。

その横には、淀殿のお墓を守るように立つ白竜明神。
縁結びの神さまとされ、特に女性に人気のパワースポットです。
他にも、ぼけ封じ観音に芭蕉の句碑など、小ネタ満載の空間です。

太融寺の基本情報
住所:大阪市北区太融寺町3−7
アクセス:
(大阪メトロ)東梅田駅から徒歩7分
(JR)大阪駅、(大阪メトロ・阪急・阪神)梅田駅から徒歩10分
備考:境内拝観自由
ホームページ:太融寺