現在の天王寺は、オフィスビルに店舗、観光名所などが立ち並ぶ、大阪有数の繁華街・観光地。
一方で、この天王寺は、その昔、豊臣家の大坂城を徳川方が攻め立てた「大坂の陣」の激戦地の1つとして知られます。
今もこの天王寺の各地には、茶臼山(天王寺公園)をはじめ、さまざまな名所旧跡が残ります。
そのうちの1つが、今回ご紹介する安居神社(やすいじんじゃ)。
ここは、大坂の夏の陣で奮戦した、真田幸村の戦没地。歴史好きなら一度は訪れておきたい、天王寺の隠れた名所です。
医薬の神と学問の神を祀る古社
天王寺公園の北側に、天王寺七坂の1つ、逢坂(おうさか)と呼ばれる坂があります。
西から東の四天王寺に向かって上る坂で、南側には、黒光りの山門が特徴的な一心寺があります。
一方の北側には、木々に囲まれたこぢんまりとした社。これが安居神社です。

安居神社は、創建年代は不明ながら、古くからこの地に存在する由緒ある社です。
境内の奥にたたずむ社殿には、医薬の神さま・少彦名神(スクナヒコナ)が祀られています。

また、安居神社には学問の神さま・菅原道真も祀られており、安居天満宮とも呼ばれます。
京から左遷先の九州・太宰府へ向かう途中、菅原道真がこの地で休息をとったという伝承が残ります。
また、江戸時代に大丸の創業者がこの安居神社を篤く信仰したことから、別名「大丸天神」。
なお、天満宮では牛が神のお使い。安居神社の境内にも、天満宮の象徴、寝そべる牛の像(神牛像)がありますよ。

真田幸村最後の地
一方で、この安居神社は、大坂の陣との関係の深い、天王寺の歴史名所の1つ。
大坂夏の陣で、豊臣方の武将・真田幸村(信繁)が最後を遂げた場所と伝わります。

大坂冬の陣で、真田幸村率いる真田勢は、大坂城の南、現在の三光神社近くに「真田丸」と呼ばれる出丸(曲輪)に籠もり、徳川方をさんざん苦しめました。

しかし、冬の陣の後、城の濠がほとんど埋められてしまい、大坂城の防御力は大きく低下。
そのため、続く大坂夏の陣では、真田幸村をはじめ、豊臣方の多くが城から打って出て城外決戦を挑みました。
南の天王寺方面を担当した真田勢は、現在の天王寺公園内にある茶臼山に布陣します。


真田勢は機を見て茶臼山から徳川軍へ向けて突撃、一時は、徳川家康の本陣に迫るなど、獅子奮迅の活躍をします。
しかし、敵との兵力差は大きく奮戦もそこまで。
力尽きた真田幸村は、この安居神社の境内で休んでいるところを討ち取られたと言われています。

現在の安居神社の境内は、賑やかな天王寺の中にありながらも、木々に囲まれ、周辺の喧騒を感じさせない意外にも静かな空間。
ところどころに、真田の家紋、六文銭の赤いのぼりが風でたなびき、真田の雰囲気満載です。
境内の一角には、「真田幸村戦死跡」と記された大きな石碑。そのそばには、甲冑姿で片膝を立てて座る幸村公。
幸村ゆかりの松の木「さなだ松」も残されています。
なお、真田幸村の戦没は5月。これに合わせ、毎年5月5日に、安居神社境内で「幸村祭」が催されています。

安居神社の基本情報
住所:大阪市天王寺区逢阪1丁目3-24
アクセス:
(大阪メトロ堺筋線)恵美須町駅から徒歩5分
(大坂メトロ谷町線)四天王寺夕陽ヶ丘駅から徒歩6分
(JR・大阪メトロ御堂筋線)天王寺駅から徒歩12分
備考:境内参拝自由
駐車場:無(天王寺公園・茶臼山ゲート駐車場など利用)

