仁和寺|格式高い門跡寺院に残る、御室桜と大伽藍(京都名所巡り)

金閣寺や北野天満宮など、京都を代表するスポットが集まる、京都市街の北西部。

特に、世界遺産「古都京都の文化財」に登録されている、金閣寺・龍安寺・仁和寺の3つのお寺が有名です。

今回は、その世界遺産の一つ、真言宗御室派の総本山・仁和寺(にんなじ)をご紹介。

皇室とのゆかりの深さでも知られる仁和寺。
京都の数あるお寺の中でも、特に格式の高い寺院の1つです。

仁和寺・御室桜と五重塔

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桜の名所・旧御室御所

仁和寺は、平安時代の889年、宇多天皇によって建立されたお寺。

宇多天皇はその後出家して法皇となり、ここに「御室(おむろ)」という僧坊を建てて暮らしたことから、御室御所とも呼ばれます。

また、宇多天皇の没後、明治維新までずっと、仁和寺の住職は皇族が務めてきました。
いわゆる門跡寺院であり、皇室とのゆかりの深いお寺です。

旧門跡寺院・仁和寺

また、仁和寺は、京都を代表する桜の名所の1つ。

特に有名なのは、中門近く、左手(西側)に植えられた樹高の低い桜。
この桜は「御室桜」と呼ばれています。

御室桜は遅咲きの桜。
例年、4月初旬に咲き始め、中旬に満開となります。
また、御室桜は、国の名勝に指定されています。

なお、普段の仁和寺境内は自由に入ることができますが、桜の開花時期に限り、入場有料となります。

仁和寺・御室桜

仁和寺の伽藍紹介

平安時代創建の仁和寺ですが、その伽藍は、室町時代の応仁の乱で一度全焼しました。

その後、江戸時代に入り、徳川幕府により大がかりな整備が行われた仁和寺。
その時期に造営された大伽藍が今も残ります。

また、ほとんどの建物は、国宝、あるいは、国重要文化財の指定を受けています。

二王門

境内南正面に立つ巨大な門、二王門。
二重二階・五間三戸の三門形式の門です。

門の入口両側には、左右一対の金剛力士像(仁王)。

なお、金剛力士が置かれた門は「仁王門」という名前が一般的ですが、ここ仁和寺の門は「二王門」と呼ばれています。

二王門は、江戸時代前期、1640年頃の建立。
国重要文化財の指定を受けています。

仁和寺二王門

中門

大きな二王門をくぐると、その先には開放感あふれる広い境内。

その境内の奥、正面に見える朱色の八脚門が中門です。

中門は、金堂や五重塔が立ち並ぶ、伽藍中心への入口となる門。
1640年頃の建立で、国重要文化財の指定を受けています。

仁和寺中門

観音堂

中門をくぐった先、左手には、先ほどご紹介した御室桜が広がります。
その奥、桜の木に囲まれるようにして立つのが観音堂です。

観音堂も1640年頃の建立で、国重要文化財に指定されています。
なお、平成24年~30年にかけて、大規模な解体修復工事が行われました。

五重塔

一方、右手に見えるのは五重塔。
屋根の逓減率が小さい、すらりとした美しい塔。高さは37.1mです。

1644年の建立で、こちらも国重要文化財に指定されています。

仁和寺五重塔

金堂

境内をさらに進むと、一番奥に大きなお堂が見えてきます。
これが金堂。仁和寺の中心となる建物です。

正面七間、奥行五間、どっしりとした重量感のある和様のお堂。
柱間にはめ込まれた、格子状の蔀戸(しとみど)が特徴的です。

仁和寺金堂正面

この金堂は、江戸時代前期の寛永年間(1624~1644年)に、御所の旧紫宸殿を移築したもの。国宝指定。
仁和寺の中で、皇室とのゆかりの深さが特に感じられる建物です。

また、仁和寺には、創建時の本尊とされる阿弥陀如来像(国宝)が残ります。

ただし、この阿弥陀如来像は、現在は金堂ではなく、仁和寺の宝物館である霊宝館で保管されています。
(霊宝館は、春・秋の年二回、期間限定で公開されます)

仁和寺金堂斜視

経蔵と鐘楼

金堂の左右には、経蔵と鐘楼が残ります。

金堂の右に立つ、宝形造のお堂が経蔵。
お経などの仏典を収める建物です。
1640年頃の建立、国重要文化財に指定されています。

仁和寺経蔵

金堂左に立つのは、鮮やかな朱色の鐘楼。

鐘楼は二階建て。
鐘が掛けられる上層、周囲には高欄(手すり)が巡らされています。
下層は、スカートのような「袴腰」です。

1644年の建立、こちらも国重要文化財の指定を受けています。

仁和寺鐘楼

御影堂(みえどう)

真言宗の宗祖・弘法大師空海の像(御影)を祀るお堂です。

江戸時代寛永年間(1624~1644年)の建立で、国重要文化財指定。
御所にあった建物(旧清涼殿)の用材を使って建てられています。

仁和寺御影堂

仁和寺御殿・庭園

仁和寺境内の南西部、二王門をくぐったすぐ左側は、その昔、宇多法皇の僧坊があった場所(御所跡)とされています。
その跡に、近代になって、仁和寺御殿と呼ばれる建物群が建てられました。

宸殿・黒書院・白書院・霊明殿など御所風の建物と、周囲に配された庭園・茶室で構成された御殿。
御殿の建造物は、国の登録有形文化財です。

仁和寺御殿入口

この御殿の見どころの1つは、北庭・南庭の2つの庭園。

北庭は、中央の池の周りに樹木を配した、緑豊かな庭園です。
池越しに、美しい五重塔の姿を眺めることができます。

仁和寺御殿・北庭

南庭は、一面に白砂が敷かれた枯山水庭園。

庭の向こうに見えるのは、勅使門と二王門。
北庭とはまた趣が異なった、厳かさをも感じさせるお庭です。

仁和寺御殿・南庭

仁和寺の基本情報

住所:京都市右京区御室大内33

電話番号:075-461-1155

拝観時間:
(3月~11月)午前9時~午後5時
(12月~2月)午前9時~午後4時半

拝観料:境内入場は無料(ただし、桜の開花時期は有料)
(御殿)大人・高校生500円 小中生300円
(霊宝館)大人500円 中高生300円 小学生以下は無料(期間限定公開)
(伽藍特別入山)大人・高校生500円 小中生200円(桜開花時期のみ)

アクセス:
(JR)花園駅から徒歩15分
(京福電鉄(嵐電))御室仁和寺駅から徒歩3分
(バス利用)京都駅・京阪三条駅・阪急大宮駅・阪急西院駅から市バス乗車、「御室仁和寺」下車すぐ

駐車場:有(普通車100台)

ホームページ:真言宗御室派 総本山仁和寺

仁和寺地図

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