京都市西部の嵯峨野(さがの)は、平安貴族にも愛された古くからの景勝地。
西に嵐山や小倉山を望む風光明媚な地で、紅葉の名所としても知られます。
また、のどかな風景が広がる嵯峨野の各地には、由緒ある古寺・古社も残ります。
今回ご紹介するのは、その嵯峨野の名所の1つ、二尊院(にそんいん)。
「百人一首」で知られる小倉山の麓に立つ名刹です。
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寺名の由来は並び立つ二仏
平安時代初期、嵯峨天皇の勅願、円仁(第三代天台座主・慈覚大師)による建立と伝わる二尊院。
現在は天台宗の寺院ですが、中世には法然上人の弟子によって再興されるなど、浄土宗・法然上人とのゆかりも深いお寺です。
「二尊院」という寺名の由来は、本堂に祀られるご本尊の二体の仏さま、釈迦如来と阿弥陀如来。
ともに像高80cmほどの立像で、遠目には同じ仏さまが二体いらっしゃるのかと思うほど。
二尊の印相は異なりますが、その姿勢はほぼ左右対称。
互いに逆の手を挙げ、本堂中央で並び立つお姿は大変美しいですね。
二尊院の境内見どころ
京都の他のお寺と同様、この二尊院も、室町時代の応仁の乱による被害を受けています。
当時の兵乱による延焼で境内伽藍の多くを焼失。
現在の境内に残る主な建物は、応仁の乱終結後に再建されたものです。
総門
二尊院の入口に立つ総門。
もとは伏見城にあった薬医門を移築したものと伝わります。
そう聞けば、横幅が大きくがっしりとした造りであることも、うなずけますね。
総門の先は幅広の参道が奥へとのびています。
両側にモミジの木が並ぶこの参道、秋には「紅葉の馬場」とも呼ばれます。
唐門(勅使門)
参道の先を左へ折れると、右手に古風な造りの門が見えてきます。
前後に唐破風がついた美しい唐門。
応仁の乱後の室町時代後期、1521年の再建です。
天皇からの使い(勅使)をお通しするための門で、普段は閉じられた「開かずの門」。勅使門とも呼ばれます。
なお、現代では常に開門されており、誰でも通行できます。
本堂
唐門の先は、諸堂が立ち並ぶ二尊院の境内中心。
その中央に立つ、大きな横幅の重量感のあるお堂。
これが二尊院の本堂です。
先ほどの唐門と同様、この本堂も、室町時代後期の再建です。
本堂の堂内中央には、ご本尊の二体の仏像(釈迦如来&阿弥陀如来)が安置されています。
二尊とも鎌倉時代の作。いずれも国の重要文化財に指定されています。
なお、本堂の裏手にそびえる山は、有名な小倉山。
歌人・藤原定家が「小倉百人一首」を編纂した場所と伝わります。
鐘楼
本堂の右手に立つ鐘楼。
こちらは、慶長年間(1596年~1615年)の建立です。
鐘楼に吊されている鐘は、「しあわせの鐘」と呼ばれています。
心の中で幸せを願いながら3回つくのがよいそうです。
石段の先には墓所・廟所
鐘楼の横からは、小倉山に向かって石段がのびています。
その先にあるのは、二尊院とゆかりのある人々の墓所や廟所。
例えば、二条家・三条西家・鷹司家などの公家に、豪商・角倉一族のお墓。
土御門天皇・後嵯峨天皇・亀山天皇の遺骨を安置する三帝陵もあります。
また、法然上人とのゆかりも深い二尊院。
石段の先には、他のお墓に交じって、法然上人の御廟も残されています。
二尊院の基本情報
住所:京都市右京区嵯峨二尊院門前長神町27
電話番号:075-861-0687
拝観時間:午前9時~午後4時半(受付終了)
定休日:なし
拝観料:大人(中学生以上)500円 小学生以下は無料
アクセス:
(JR)嵯峨嵐山駅から徒歩15分
(京福電鉄嵐山本線)嵐山駅から徒歩15分
駐車場:有(10台)
ホームページ:小倉山 二尊院