兵庫県西宮市にある東光寺。
一般には、「門戸厄神」(もんどやくじん)の通称で知られる、高野山真言宗のお寺です。
厄神明王を祀り、「日本三大厄神」とも称される門戸厄神。関西を代表する厄除けのお寺の1つです。

不動+愛染の「ダブル厄除けパワー」
門戸厄神の創建は、平安時代・嵯峨天皇の時代の829年と伝わります。
この年は、嵯峨天皇の厄年で、天皇から祈祷を命ぜられた弘法大師空海は、三体の厄神明王像を作ります。
そのうちの一体が、今も門戸厄神に祀られる厄神明王とされています。

ところで、厄除けの仏さまとしてよく知られるのは、不動明王。
燃えさかる炎を背に、剣を握り、忿怒の表情でにらみつける明王です。
その不動明王に、さらに愛染明王が組み合わさって一体化したのが、ここ門戸厄神の厄神明王です。
不動明王+愛染明王のダブル厄除けパワーで、どんな災厄もすべて打ち払ってくれそう。
なお、厄神明王の縁日は毎月19日です。
特に、年明け1月の18日・19日「厄除け大祭」は、門戸厄神の一大行事で、関西一円から大勢の参拝客が訪れます。

門戸厄神の境内見どころ
長い歴史を誇る門戸厄神ですが、戦乱などでたびたび被害を受けています。
現代においても、1995年(平成7年)の阪神淡路大震災では大きな被害がありました。
しかし、その震災を乗り越え復興した門戸厄神。現在の境内には、厄神堂・薬師堂をはじめとするさまざまなお堂が並びます。
男坂と表門
門戸厄神の表門は東側にあります。一段高い位置にある表門に向けて、下から石段がのびています。
石段の数は全部で42段。男性の厄年と同じ数のこの石段は、男坂と呼ばれています。

42段の男坂を登り切ったところに、表門が立っています。
この表門は、阪神淡路大震災で全壊の被害を受けましたが、震災後に再建されました。

中楼門と女坂
表門をくぐった先の正面には、二階建ての朱色の門が立っています。この門は、中楼門と呼ばれます。
この中楼門の下にも石段があり、その数は33段。こちらは女性の厄年と同じ数で、女坂と呼ばれています。

「厄神明王」と大書された赤い提灯がつり下げられた中楼門。
その提灯をくぐった先は、門戸厄神の境内中心です。

厄神堂と薬師堂
門戸厄神の境内にはさまざまなお堂がありますが、その中心となるのは厄神堂と薬師堂です。
中楼門の先、正面に立つのが厄神堂。
弘法大師・空海の作とされる、厄神明王像(秘仏)を祀るお堂です。
門戸厄神ではまずはこちらへお参りを。厄神明王のお力により、身に降りかかる災厄を払ってもらいましょう。

厄神堂の右側に立つのが薬師堂。
有名な厄神明王の陰に隠れておりますが、実は、門戸厄神のご本尊は薬師如来。
薬師堂は、この薬師如来像を安置する本堂にあたります。
薬師堂の右には社務所があります。厄除け祈祷の申し込みや御朱印のお願いはこちらへどうぞ。

その他にも、境内には、愛染堂・大黒堂、大師堂、護摩堂などの諸堂が立ち並んでいます。
厄神堂・薬師堂への参拝を終えたら、これらの諸堂にもお参りおきましょう。

杉の霊木、延命魂と宝輪杉
最後に、境内の左奥に置かれた杉の老木、延命魂・宝輪杉をご紹介。
いずれも800年以上を生き抜いた杉の霊木です。
延命魂(下の写真右)は杉の老木の根。延命長寿や病気平癒の御利益があるとされています。
その横の宝輪杉(同左)は、年輪が刻まれた巨杉の幹。その無数の年輪を眺めていると、杉が育ってきた途方もなく長い年月を感じます。

門戸厄神の基本情報
住所:兵庫県西宮市門戸西町2番26号
アクセス:(阪急今津線)門戸厄神駅から徒歩10分
駐車場:有(普通車60台・無料)
備考:境内拝観自由・縁日は毎月19日
ホームページ:門戸厄神 東光寺