東照宮とは、神格化された徳川家康(東照大権現)を祀る神社のこと。
栃木の日光東照宮が有名ですが、その他にも、日本各地にさまざまな東照宮が存在します。
その1つが、和歌山にある紀州東照宮。紀州徳川家初代藩主、徳川頼宣(よりのぶ)創建の神社です。

家康・頼宣親子を祀る東照宮
紀州東照宮を創建した徳川頼宣は、徳川家康の十男です。
1619年、駿府50万石から紀州和歌山55万5千石に転封。和歌山城を居城とする、徳川御三家・紀州藩の初代藩主となりました。
頼宣は、家康晩年の子ということもあり、父・家康に手塩にかけて育てられたと言われています。
この徳川頼宣による紀州東照宮の創建は1621年。徳川家康を神格化した東照大権現を祀る神社です。
また、徳川頼宣も、その死後に、自らが創建したこの神社に父とともに祀られることになりました。

紀州東照宮の境内見どころ
紀州東照宮は、名勝・和歌浦を望む小高い山に鎮座しています。
入口の鳥居をくぐった先の境内は、木々に囲まれた静かな空間。日中でも薄暗い中を、石畳みの参道が奥へと続いています。
一直線にのびる108の石段
参道を進むと、その奥に、石段が一直線に続く急傾斜の坂が見えてきます。
この坂は「侍坂」と呼ばれ、石段の数は全部で108段。
一つ一つの石が大きく、段数の割りにはかなりの高さで、下から眺めると石の絶壁のようです。
なお、急な石段を登るのはきつい、という方のために、侍坂の左手には傾斜の緩い階段も設置されています。

紀州東照宮では、毎年5月に、和歌祭と呼ばれる大祭が催されます。
この祭の見どころの1つに「神輿おろし」というものがあります。
威勢のよい大勢の男たちが、約1トンもの重さの神輿を担ぎながら急勾配の侍坂を降りてくる、勇壮な行事です。

権現造の社殿
石段の終点の山上には、鮮やかな朱色の楼門が立っています。
その楼門の先に、古い社殿が立ち並ぶ、厳かな空間が広がります。

楼門の正面にあるのは、唐門と瑞垣に取り囲まれた拝殿と本殿。
奥の本殿と手前の拝殿は、その間にある、石の間と呼ばれる部分でつながっています。
これは権現造(ごんげんづくり)と呼ばれ、他の東照宮でも一般的に見られる建築様式です。

「関西日光」とも呼ばれる紀州東照宮。
本殿や拝殿には、極彩色で彩られた見事な彫刻が残ります。
また、楼門、本殿・拝殿、唐門など、紀州東照宮の主な建物は、国重要文化財に指定されています。

紀州東照宮の基本情報
住所:和歌山市和歌浦西2丁目1-2
拝観時間:9:00~16:30
拝観料:大人300円 小中高生100円
アクセス:(JR)和歌山駅・(南海)和歌山市駅から和歌山バス、「和歌浦口」バス停下車徒歩8分
ホームページ:紀州東照宮