美しい白砂が広がる須磨海岸のすぐ近く。須磨ではよく知られた古社が鎮座しています。
それが、今回ご紹介する綱敷天満宮(つなしきてんまんぐう)。
由緒ある神社でありながら、その境内は、さまざまな縁起物であふれる楽しい空間。
人々に親しまれる「須磨の天神さん」、気軽に参拝してみましょう。

社名の由来は綱の敷物
綱敷天満宮の祭神は、菅原道真。
菅原道真は、平安時代の貴族・学者で、漢詩や和歌にも優れたお人です。
京の朝廷で右大臣の高位に昇るも、政争に敗れて太宰府へ左遷され、失意の中、太宰府でその生涯を閉じました。
菅原道真を祀る天満宮の多くは、京から太宰府へ下る途中に道真が立ち寄ったとされる場所にあります。
「須磨の天神さん」綱敷天満宮もその1つです。

菅原道真が須磨の地を訪れた際、地元の漁師が大綱を巻いて円座を作り、道真公はそこに座ってくつろいだ、という話が残ります。
大綱でつくられた敷物なので、綱敷(つなしき)。
綱敷天満宮という社名は、この伝承に由来します。道真没後、その遺徳を偲び、この須磨の地に建てられました。
創建は979年、由緒ある天満宮です。

綱敷天満宮の境内見どころ
梅の木に囲まれて厳かな社殿が立つ境内。
一方で、その社殿の周りにはいろんな縁起物が置かれています。
普通の神社では見かけない、個性的なものもあり。
歴史ある社でありながら、遊び心も感じられる楽しい境内です。

社殿
境内中央に立つ厳かな建物は拝殿で、この拝殿の奥に、瑞垣で囲まれた本殿が鎮座しています。
ご本殿に祀られるのは、もちろん、菅原道真。
優れた学者でもあった道真公、学問の神さまとして信仰されています。

拝殿の左手には、小ぶりの三重塔があります。
創建一千年を記念して建てられた、この鮮やかな朱色の塔は綱敷天満宮のシンボル。
適度な高さで、他の社殿とのバランスも良好です。

縁起物いろいろ
綱敷天満宮の特徴の1つは、あちこちに置かれた縁起物の数々。
境内をひとめぐりして探してみましょう。
まず、拝殿向かって右手にあるのは「綱敷の円座」。
社名の由来でもある綱の円座、ここに座って精神統一すれば、道真公のご加護を得られるとか。

その左手には、紫色の巨大ナス。これは「なすの腰掛け」。
「成す」に語呂をかけた縁起物です。
腰掛けというぐらいですから、もちろん座ってOK。ここに腰掛けて本殿へ祈れば、お願いが叶うとか。

拝殿の手前には、なにやらサーフボードのようなものが置かれています。
その後ろには、にこやか笑顔、子どもの姿の道真公。
これは「波乗り祈願の像」。
この神社の近くには、夏には大勢の海水浴客が訪れる須磨海岸がありますが、この須磨海岸にちなんで置かれた縁起物です。
この像に祈れば、時流の波に乗って夢をかなえられるかも。

最後に、境内の東側に置かれた牛の像。
天神信仰では、牛は神のお使いとされています。
北野天満宮をはじめ、どこの天満宮にも当たり前のように臥牛像が置かれていますが、ここの牛はちょっと違います。
一頭の大きな臥牛の横に、うじゃうじゃいます小さな牛たち。全部で20体。
それぞれ撫でてあげると御利益も20倍!になるかも。

梅林
菅原道真が好んだとされる梅。この綱敷天満宮にも、もちろん、梅の木があります。
境内の各所に梅の木が植えられていますが、特に、境内右奥の梅林が見どころです。
北野天満宮や太宰府天満宮から寄贈された梅の木もありますよ。

綱敷天満宮の基本情報
住所:神戸市須磨区天神町2丁目1−11
アクセス:(JR)須磨駅から徒歩8分 (山陽電鉄)須磨寺駅から徒歩3分
駐車場:有
備考:境内参拝自由
ホームページ:綱敷天満宮