学問の神さま・菅原道真を祀る神社、天満宮。
京都の北野天満宮や福岡の太宰府天満宮をはじめ、日本各地に存在します。
大阪の大阪天満宮や山口の防府天満宮のように、その多くは、京から太宰府への道中に建てられています。
しかし、その道からちょっと外れた感のある和歌山にも、由緒ある天満宮が残ります。
それが、今回ご紹介する和歌浦天満宮です。
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名勝の地を見守る天満宮
和歌川河口に広がる和歌浦は、紀州を代表する名勝の地。
玉津島六山や片男波が広がる美しい風景は、古のころより多くの人々に愛されました。
菅原道真は、京から左遷先の太宰府へ向かう途中、海の風浪を避けるために、一時、この和歌浦に立ち寄ったと伝わります。
そのときの縁で、この地に建てられた和歌浦天満宮。
10世紀の康保年間(964~968年)の創建とされる、由緒ある神社です。
和歌浦天満宮は、和歌浦の背後にそびえる山から、名勝の地を見守るように鎮座しています。
境内の見晴らしは良好。
片男波から紀三井寺のある名草山あたりまで、和歌浦一帯を見渡せる好眺望スポットです。
和歌浦天満宮の境内見どころ
和歌浦天満宮は、桃山時代、豊臣秀吉による紀州征伐の際に、社殿を失いました。
その後の江戸時代初期に再興。そのときに建てられた社殿が今も残ります。
長い石段
和歌浦天満宮の境内は、山の中腹にあります。
正面鳥居の前に立つと、目の前には直線的にのびる長い石段。
まるで石の壁のよう。
また、一段一段がかなり高く、登り切るのに苦労します。
なお、石段の左側には、こちらも境内へ続く緩やかな坂道があります。
この石段はちょっときついと思われる方は、無理せず坂道を使いましょう。
楼門
石段を登り切ったところに立つ楼門。
ご本殿のある境内中心部への入口となる、二階建ての門です。
神社の楼門は、例えば、すぐ近くの紀州東照宮にもあるように、三間一戸の形式のものが多いのですが、ここのは一間一戸で小ぶりな感じ。
この楼門は、江戸時代初期の1605年に建てられたもので、国重要文化財に指定されています。
本殿
楼門をくぐった先の境内には、朱色の社殿が立ち並びます。
その中心は、主祭神・菅原道真を祀るご本殿。
正面に見えるのは平唐門。
この唐門の背後、瑞垣に囲まれて本殿が鎮座しています。
本殿は正面五間・奥行二間、入母屋造で正面には千鳥破風。
各所に彫刻が施され、極彩色で彩られています。
1606年の建立、こちらも国重要文化財に指定されています。
末社
本殿の右手には、境内末社があります。
多賀神社本殿、天照皇大神宮本殿、豊受大神宮本殿。
江戸時代初期の1604年の建立で、国重要文化財に指定されています。
和歌浦天満宮の基本情報
住所:和歌山市和歌浦西2丁目1−24
電話番号:073-444-4769
アクセス:(JR)和歌山駅・(南海)和歌山市駅から和歌山バス乗車、「権現前」バス停下車徒歩5分
駐車場:有
備考:境内参拝自由