京都北山・衣笠山の南の麓に、等持院(とうじいん)というお寺があります。
ここは、室町将軍・足利氏とのゆかりの深い禅寺。
金閣寺や龍安寺など、周辺の有名寺院の陰に隠れていますが、この等持院も、見どころの多い京都北山の名所の1つです。
足利将軍家の菩提寺
等持院の創建は、室町時代初期(南北朝時代)の1341年。開基は、室町初代将軍の足利尊氏です。
また、尊氏自身もその死後、この等持院に葬られました。
以後、等持院は足利将軍家の菩提寺となり、室町時代を通じて幕府の庇護を受けました。

現在の等持院は、臨済宗天龍寺派に属するお寺です。
天龍寺派は、等持院と同じく足利尊氏により創建された、天龍寺を大本山とする臨済宗の一宗派です。

等持院の境内見どころ
等持院は、創建以来、応仁の乱などの戦乱や火災でたびたび伽藍を失っており、方丈や霊光殿など主な建物は、江戸時代以降の建築です。
方丈の周囲に広がる美しい庭園も見どころの1つです。
方丈
入母屋造・一層の大きなお堂で、現在の等持院の中心的な建物。
もとは、1616年に福島正則が建立した、妙心寺塔頭の建物と伝わります。
江戸時代後期の1818年に等持院に移築されました。

霊光殿
方丈の隣に立つお堂は霊光院。中には貴重な像が数多く安置されています。
堂内奥、中央に置かれているのは、足利尊氏の念持仏であった地蔵菩薩。
その左右に、歴代の足利将軍の像がずらりと並びます。
左には初代の尊氏から8代義政まで、右には9代義尚から15代義昭の像。ただし、室町15代のうち、第5代と第14代将軍の像はここにはありません。
また、霊光殿内には、徳川家康の像もあります。42歳の家康像で、石清水八幡宮で厄除けの霊験を受けたとされています。

庭園
方丈の周囲には、心字池と芙蓉池という2つの池を中心とした、池泉回遊式の美しい日本庭園が広がります。
さつきにくちなし、芙蓉(ふよう)など季節の花で彩られる庭園、四季折々の風景を楽しめます。

庭園の北の奥、ちょっと高台になった位置には、清漣亭という名の茶室が残ります。
茅葺き屋根の素朴な造りの茶室ですが、禅寺の中で「わびさび」の効いた趣を感じさせます。

足利尊氏墓所
この庭園内には、等持院の開基でもある、室町初代将軍・足利尊氏の墓所があります。
宝篋印塔が、緑豊かなお庭の中に隠れるように立っています。庭園巡りの際に、見落とさないようご注意ください。

等持院の基本情報
住所:京都市北区等持院北町63
拝観時間:9:00~16:30 年中無休
拝観料:大人600円 小人300円
アクセス:
(京福電鉄北野線)「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前」駅から徒歩5分
(バス利用)京都駅、京阪三条駅などから市バス乗車、「等持院南町」・「立命館大学前」下車、徒歩10分
駐車場:有(10台)
ホームページ:臨済宗天龍寺派 等持院