奈良市街の東に連なる山々、若草山・春日山の南に、高円山(たかまどやま)という山があります。
この高円山の西の麓にあるのが、今回ご紹介する白毫寺(びゃくごうじ)。
奈良の寺院の中では知名度はそれほど高くないものの、数多くの貴重な仏像が残る、ちょっと隠れ家的なお寺です。椿や萩など花の名所でもあります。
見晴らし良好のお寺さん
白毫寺の創建については不明なところが多いのですが、一説には、天智天皇の皇子・志貴皇子の山荘を寺に改めたものとも伝わります。
鎌倉時代には、西大寺の叡尊によって再興され、伽藍の整備が行われました。
現在は、西大寺を総本山とする真言律宗のお寺です。

奈良公園から南に少し離れたところにある白毫寺。観光客の喧騒から離れ、落ち着いた雰囲気のお寺さんです。
また、山麓の高台に立つこのお寺の境内は見晴らし良好。西を眺めれば、奈良市街を一望できます。

白毫寺の境内見どころ
中世の戦乱で伽藍を一度失った白毫寺。しかし、仏像については、幸いにも焼失を免れました。
平安時代~鎌倉時代の貴重な仏像を、今も数多く残しています。
伽藍と仏像
現在の白毫寺境内に残る主な建物は、本堂と宝蔵です。
境内のほぼ中央に立つ本堂は、江戸時代初期に建立されたもの。堂内には、阿弥陀三尊など、さまざまな仏像が安置されています。

宝蔵は、白毫寺の寺宝である仏像群を収蔵する建物です。
ここには、白毫寺本尊の阿弥陀如来像を含め、八体の仏像があります。すべて国の重要文化財に指定されています。
決して知名度は高くないこのお寺、国重文の仏像がこんなに残っているのは意外ですね。
宝蔵の仏像群の中でも、特に注目は閻魔大王像。鎌倉時代のもので、昔存在した閻魔堂のご本尊であった仏像です。
穏やかなお顔の仏さまが並ぶなか、この閻魔さまの迫力ある忿怒の形相は際立っています。

石仏の道
本堂と宝蔵にお参りした後は、白毫寺の境内をひとめぐり。
あちこちに石仏が置かれているのも、白毫寺境内の特徴です。本堂の裏手の「石仏の道」では、さまざまな石の仏さまが並びます。

境内には、年代の古い石仏も残されています。
例えば、本堂背後に置かれた石の像。長い年月の間にすり減って像形がわかりにくいですが、これは不動明王。鎌倉時代のものです。

白毫寺の基本情報
住所:奈良市白毫寺町392
拝観時間:9:00~17:00
拝観料:大人500円 中高生300円 小学生200円
アクセス:
(駅から徒歩)近鉄奈良駅・JR奈良駅から徒歩約40分
(バス利用)近鉄奈良駅・JR奈良駅から市内循環バス「高畑町」下車徒歩約20分
駐車場:無