神社について(祭神編その1)|日本神話に登場する個性的な神々

今回からのテーマは、日本古来の神さまを祀る神社。
祭神」「社殿」、そして、「参拝作法」に分けてお話ししていきます。

まずは、神社で祀られる祭神について。

日本の神さまの種類はたいへん多く、昔から「八百万(やおよろず)の神」という言葉があるほどです。

その中でも、特に、日本神話に登場する主な神さまについて、その神さまが祀られる神社とあわせてご紹介します。
(他の神さまについては「神社について(祭神編その2)」でご紹介)

神社

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日本神話の個性的な神々

「日本神話」とは、一般には、古事記や日本書紀に記された、日本創世に関する伝承を指します。

日本神話には、イザナギとイザナミの夫婦神、アマテラスとスサノオの姉弟、オオクニヌシなど、数多くの神さまが登場します。

「人間臭さ」を持った個性的な神さまも多く、そのエピソードを知れば親近感すら覚えます。

イザナギとイザナミの国生み

天上の神が住む世界は、高天原(たかまがはら)と呼ばれます。

この高天原から下界に降りてきたのが、男神のイザナギ(伊弉諾尊)と女神のイザナミ(伊弉冉尊)の二柱。

天の浮橋に降り立った二柱の神は、まだ形が定まらない大地に矛を入れてかき混ぜます。

矛を上げるとその先から滴がしたたり落ち、その滴が重なって最初にできたのがオノコロジマ。

この島に降り立ったイザナギとイザナミは夫婦となり、日本列島の島々やさまざまな神々を生み出していきました。

日本創世の神、イザナギ、イザナミの二柱を祀る神社は各地にあります。
淡路島の伊弉諾神宮、滋賀の多賀大社などが有名です。

多賀大社

アマテラスとスサノオ

アマテラス(天照大神)とスサノオ(素戔嗚尊)の姉弟は、イザナギの子神。

しっかり者の姉、アマテラスは、世の中を照らす太陽神。
天上界(高天原)を治める神さまとなります。

一方、弟のスサノオは、姉とは正反対のやんちゃ者。

高天原で乱暴狼藉の限りをつくし、姉のアマテラスをさんざん困らせます。
何もかもいやになったアマテラスが「天岩戸(あまのいわど)」に籠もってしまうほど。

これが元で高天原を追放されたスサノオは、地上に降り立ちます。

しかし、地上では、出雲の国で八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治するなど大活躍。
天界の「暴れん坊」が一躍英雄に大変身です。

伊勢神宮内宮

アマテラスを祀る神社の代表は、伊勢神宮内宮(皇大神宮)。

なお、後の神武天皇の東征話からも分かるように、神話上は、歴代天皇はアマテラスの子孫であり、アマテラスは天皇家の祖先神とされています。

古くから天皇家の崇敬も深く、伊勢神宮は数多い神社の中でも「別格扱い」。
戦前までは、日本中の社の頂点に君臨する神社でありました。

一方、スサノオを祀る神社は日本に数多く存在します。
「素戔嗚」や「須佐之男」などを冠する神社は、どこもスサノオが祭神です。

また、祇園祭で有名な八坂神社など、祇園信仰の神社の主祭神も多くはスサノオです。

八坂神社

オオクニヌシの国造り・国譲り

次は、地上の神、オオクニヌシ(大国主命)。
スサノオの子孫で、「因幡の白うさぎ」の話でも知られる心優しい神さまです。

オオクニヌシは、地上界でせっせと開拓を行い、国造りに熱中していました。

しかし、地上界を自分の子孫に治めさせたいと考えた、高天原(天上界)のアマテラスは、オオクニヌシに国を譲るよう伝えます。

渋ったオオクニヌシ、しかし、もともと戦いを好まない神さまです。
また、高天原から送られた軍神・タケミカヅチ(武甕槌命)の脅し(?)もあって、国譲りを決断しました。

オオクニヌシを祀る神社といえば、やはり出雲大社。
出雲大社は、国を譲った代わりとして、オオクニヌシに贈られた「宮殿」とされています。

なお、その心優しさからか、多くの姫神と結ばれた「モテ神」という一面もあるオオクニヌシ。
そのオオクニヌシを祀る出雲大社は、縁結びの神さまとしても知られます。

出雲大社

天孫降臨

国譲りの交渉が成立すると、高天原から、アマテラスの孫のニニギ(瓊瓊杵尊)が地上へ派遣されます。

さまざまな神を従えて地上へ降り立つ、天孫・ニニギ。
これが、天孫降臨(てんそんこうりん)と呼ばれるお話です。

ニニギを祀る神社としては、天孫降臨の伝説地に立つ高千穂神社などがあります。

ただ、神社の祭神という点では、主人公のニニギよりも、脇役の神さまの方が有名かもしれません。

例えば、オオクニヌシに国譲りを強いたタケミカヅチ。

タケミカヅチを祀る神社の代表は鹿島神宮。
軍神を祀る神社として、鎌倉幕府や江戸幕府など武家から崇敬を受けました。

また、奈良の春日大社もタケミカヅチを祀ります。
鹿島神宮からタケミカヅチを奈良の都に勧請して創建されました。

春日大社

神武天皇の東征

イワレビコ(伊波礼毘古)は、天孫・ニニギの子孫。
はじめは天孫降臨の地、日向(宮崎県)の高千穂に住んでいました。

しかし、この世界を治めるために適した地が東にあると聞いて、東征を決心。
さまざまな苦難を乗り越え、なんとか大和の国(奈良県)を制圧します。

そして、大和橿原(かしはら)の地において天皇に即位。
これが、初代・神武天皇です。

神武天皇が造営した橿原宮跡とされる地には、現在、神武天皇を祀る橿原神宮があります。

初代天皇といっても、神武天皇は神話に登場する伝説の人物です。
それでも、現在の橿原神宮の近くには、神武天皇陵とされる陵墓が残ります。

橿原神宮

以上、日本神話で登場するメジャーな神さまをご紹介しました。

次回「神社について(祭神編その2)」では、お稲荷さんや天神さんなど、他の神さまについてお話しします。

神話の神々を祀る神社

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