京都・伏見の神社といえば、伏見稲荷大社が有名ですが、その他にも由緒ある社が残ります。
その1つが、伏見稲荷の南にある藤森神社(ふじのもりじんじゃ)。
多くの武の神さまを祀るこの神社。現代では、勝ち運と馬の社として知られます。
名だたる武神を祀る、勝ち運と馬の社
古代の神功皇后による創建とも伝わる藤森神社。平安遷都以前から存在したとされる、伏見の古社です。
この神社の1つの特徴は、祭神の数が多いこと。
本殿だけでも、主祭神のスサノオ(素戔嗚命)の他、ヤマトタケル(日本武尊)、応神天皇、仁徳天皇、神功皇后など、何柱もの神さまが祀られています。
特に武の神が多いですね。

スサノオは、八岐大蛇(やまたのおろち)の退治で知られる、日本神話の神さま。
ヤマトタケルも日本神話で登場。熊襲討伐などで活躍した英雄です。
応神天皇は八幡宮で祀られる武の神さまですし、その母である神功皇后も三韓征伐で知られます。
名だたる武神揃い踏みの藤森神社、古くから武運の神とされてきました。

藤森神社は、5月5日の菖蒲(端午)の節句の発祥の地として知られます。
また、菖蒲(ショウブ)の読みつながりから「勝負の神」。特に、勝運と馬の社として知られます。
勝ち運に馬とくれば、出てくる言葉はただ1つ。競馬ですね。
競馬関係者の参拝も多く、また、競馬ファンにも人気の高い神社です。

藤森神社の境内見どころ
木々に囲まれた藤森神社の静かな境内。
境内への入口は南と西にありますが、南が正門にあたります。

拝殿と絵馬舎
境内南端の鳥居をくぐると、幅広の参道がまっすぐ先にのびています。
その参道を進むと、奥に見えてくる横幅の大きな建物。これは拝殿。左右には狛犬が控えています。
手水舎は、拝殿の手前、左手にあります。まずはここで、手を口を清めておきましょう。

また、手水舎の近くには、絵馬舎があります。
絵馬舎に掛けられた、さまざまな競走馬の絵馬。
トウカイテイオーやナリタブライアンなど、昔からの競馬好きにはなつかしい名馬の姿もあります。

本殿
拝殿の奥にあるのが本殿。祭神が多いこともあり、本殿は、中殿・東殿・西殿の三殿構成となっています。
中殿は、昔の御所にあった賢所を移築したもので、国の重要文化財に指定されています。
この中殿には、主祭神のスサノオ他、七柱の神さまが祀られています。
東殿の祭神は、天武天皇と、その皇子である舎人親王。
西殿には、早良親王、伊予親王、そして、井上内親王。それぞれ非業の死を遂げた皇族たちですが、ここでは神さまとして祀られています。

境内社
本殿の背後には境内社(摂社)が並びます。そのうち、次の2つの境内社の社殿は、国重要文化財に指定されています。
1つは、本殿に向かって右後方に立つ八幡宮。もう1つは、左後方の大将軍社です。
ともに一間社流造の建物で、室町時代の1438年、室町幕府6代将軍の足利義教による建立とされています。

ここにも伏見の名水
地面のすぐ下を伏流水が流れ、湧き水が多いことで知られる伏見。
伏見の名社の1つ、藤森神社にも名水あり。ご神水「不二の水」。
「この世に2つとないおいしい水」という意味があるこの名水、誰でも自由に汲むことができます。

アジサイの名所
藤森神社は、紫陽花(アジサイ)の名所としても知られます。
境内2カ所にある「紫陽花苑」には、合計3000株以上ものアジサイが植えられています。
紫陽花苑は、例年、6月上旬~7月に開苑。毎年6月15日には、紫陽花祭が催されます。

藤森神社の基本情報
住所:京都市伏見区深草鳥居崎町609
アクセス:(JR)藤森駅・(京阪)墨染駅から徒歩5分
駐車場:有
備考:境内参拝自由(紫陽花苑は有料)
ホームページ:藤森神社