京都を代表する繁華街、東山・祇園(ぎおん)界隈。
いつも賑やかな四条通り、その東の突き当たりに、鮮やかな朱色の楼門が見えます。
そう、今回ご紹介するのは、祇園を代表する名所、八坂神社。
日本三大祭の1つ、祇園祭でも知られる京の名社です。
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牛頭天王を祀る祇園信仰の中心
八坂神社は、平安遷都以前から存在したとされる古社。
古くは「祇園社」と呼ばれ、この地域の氏神として崇敬されてきました。
また、八坂神社は、日本各地に存在する、八坂系・祇園系神社の総本社。
祇園精舎の守護神・牛頭天王(ごずてんのう)を祀る、祇園信仰の中心的な存在です。
平家物語でも登場する「祇園精舎」とは、お釈迦さまが説法を行ったインド実在のお寺で、その仏教の聖地を守るのが牛頭天王です。
ただ、この背景からもわかりますように、牛頭天王は仏教色の濃い神さま。
そのため、明治の神仏分離以降は、八坂神社をはじめ祇園信仰の神社では、牛頭天王と同一視される神、スサノオ(素戔嗚尊)が祀られています。
八坂神社の祭礼・祇園祭
京の夏の風物詩、祇園祭。
日本三大祭の1つにも数えられるこの祭り、もともとは、八坂神社の祭礼です。
歴史も古く、平安時代の前半には、怨霊などを弔う「御霊会」として行われました。
現在の祇園祭は、7月1日~31日まで、1ヶ月も続く長い祭です。
その中心となるのは、数々の個性的な山鉾(やまほこ)。
京都市中を山鉾が曳き回される「山鉾巡行」は、祇園祭のハイライトです。
また、山鉾巡行前の夜祭は「宵山(よいやま)」と呼ばれます。
無数の提灯に照らされた、風情ある宵山の山鉾。祇園祭を象徴する風景です。
八坂神社の境内見どころ
現在の八坂神社では、東西南北四方に、境内への入口がそれぞれ開かれています。
どこから入ってもいいのですが、一番有名なのは、西楼門が立つ西の入口。
一方で、石鳥居と南楼門が立ち、落ち着いた雰囲気の南参道から入るのもおすすめですよ。
西楼門
四条通りの東突き当たり、南北にのびる東大路通りに面して立つ、二階建ての門。
これが、境内の西側入口に立つ楼門(西楼門)。
朱色が鮮やかなこの楼門は八坂神社の顔、また、祇園一帯のシンボルです。
この西楼門は、室町時代の1497年に建てられました。
国の重要文化財に指定されています。
石鳥居と南楼門
一方、境内南側には、石でできた大きな明神鳥居が立っています。
この石鳥居は、江戸時代前半に建てられたもの。
国重要文化財にも指定されています。
笠木を支える左右の太い柱は、それぞれ、2つの巨石を上下に積んで作られています。
柱の途中に石の継ぎ目があるのですが、お分かりになるでしょうか。
先の西楼門で、わざわざ「西」を冠しているのは、八坂神社にもう1つ楼門が存在するから。
最高格式の楼門を2つも備えた神社は、日本中でもかなり珍しいです。
そのもう1つの楼門が、石鳥居の奥に立つ南楼門。
西楼門と比べるとやや目立たない位置にあるものの、こちらも朱色が鮮やかな美しい門です。
舞殿
境内の南側、南楼門をくぐった先の正面にあるのが、舞殿。
四方吹き放ちの大きな建物。
また、軒下に無数の奉納提灯がぶら下げられているのが特徴的です。
本殿
舞殿の北側、境内の真ん中に鎮座する本殿。
ご神体が置かれた本殿とその前の拝殿とが、1つの大きな入母屋屋根で覆われた独特の造りをしています。
これは、祇園造(八坂造)とも呼ばれます。
なお、このような構造の建物は、神社では珍しいですが、お寺ではごく一般的に見られます。
屋根の檜皮葺きを瓦葺きにすれば、おそらく、大寺院の本堂のように見えると思いますよ。
この本殿は江戸時代前半の建築物。国重要文化財に指定されています。
摂社・末社めぐり
八坂神社の境内には、本殿を取り囲むように、数多くの摂社・末社があります。
本殿参拝を終えたら、境内をぐるりとひとめぐりして摂社・末社にもお参りしておきましょう。
その中でも、今回は、特に女性に人気の末社を2つご紹介。
(美御前社)
まずは、本殿の東に立つ、美御前社(うつくしごぜんしゃ)。
祭神は、日本神話のアマテラスとスサノオの誓約で誕生した、宗像三女神。
イチキシマヒメ(市杵島比売命)、タギリビメ(多岐理毘売命)、タギツヒメ(多岐津比売命)です。
イチキシマヒメを筆頭に、美の誉高い三女神を祀るこの神社。
「美の神さま」として知られます。
社前に湧き出しているお水は、ご神水「美容水」。
お顔に2,3滴つければ、肌の美容・美顔に効果あり、とされています。
(大国主社)
もう1つは、本殿の西側にある大国主社(おおくにぬししゃ)。
祭神は、国造りの神話に登場するオオクニヌシです。
オオクニヌシは、数多くの女神と結ばれた、「モテ男」として知られる神さま。
そのオオクニヌシを祀るこの社は「縁結びの神さま」とされ、良縁を求める女性の参詣が絶えません。
また、オオクニヌシは、ワニに皮を剥がされたウサギを助けるお話「因幡の白兎」でも知られます。
オオクニヌシのような心優しき素敵な人物になれるよう、男性の方もぜひお参りを。
八坂神社の基本情報
住所:京都市東山区祇園町北側625番地
電話番号:075-561-6155
アクセス:
(京阪)祇園四条駅から徒歩5分
(阪急)河原町駅から徒歩8分
(地下鉄)東山駅から徒歩10分
駐車場:有
備考:境内参拝自由
ホームページ:八坂神社