大阪府の堺は、古くより、海とともに栄えてきた街。
その旧市街、今もチンチン電車が走る広い大通り(大道筋)の東に、海の神を祀る1つの古社があります。
それが、今回ご紹介する開口神社(あぐちじんじゃ)です。
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海の神を祀る「大寺さん」
開口神社は、古代の神功皇后による創建と伝わる、この地では古くから知られた社です。
本殿に祀られる神さまは、塩土老翁神(しおつちのおじのかみ)、素盞嗚神(すさのおのかみ)、生国魂神(いくたまのかみ)の三柱。
その一柱、塩土老翁神は、日本神話で登場する神さまで、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)の子神。
潮流を司り、海上交通を守る海の神さまとして、昔からこの堺で篤く崇敬されてきました。
一方で、開口神社の境内には、奈良時代には行基により念仏寺が作られました。
さらに、平安時代には弘法大師空海により宝塔も建立。
神宮寺を備えた、典型的な神仏習合の社でした。
明治初期の神仏分離令により念仏寺は廃寺とされましたが、その後も境内には、江戸時代(寛文年間)建立の三重塔が残されていたそう。
残念ながらその塔は大戦末期の空襲で失われましたが、昔の名残で、今も「大寺(おおでら)」の名で親しまれています。
境内摂社めぐり
さて、開口神社は、その境内に多くの摂社(末社)があることでも有名です。
開口神社参拝の折には、摂社めぐりもお忘れなく。
本殿を取り囲むように並ぶ、たいへん多くの小社。
他では見かけない珍しい社もありますよ。
では、主な境内摂社をご紹介していきましょう。
三宝荒神社(竃神社)
不浄や災難を取り除く神さま、三宝荒神を祀ります。
不浄除去から転じて、火や竃(かまど)の神、さらには、台所の神さまともされ、「竃神社」とも呼ばれています。
扇塚
舞や踊りをはじめとする芸能を司る神さま。
横には、芸能上達を祈願する絵馬も数多く掛けられています。
また、毎年11月上旬には、この扇塚前にて、古い扇を供養して芸事の上達を祈願する、扇まつりが催されます。
白一龍神社
他の神社では見かけない、珍しい名前の社です。
それもそのはず、全国でも珍しい歯の神さま。
歯痛に御利益ありとのこと。
普段から虫歯に悩まされている方は、ぜひこちらへお参りを。
薬師社
明治の神仏分離前まで存在した、開口神社の神宮寺、念仏寺。
その念仏寺のご本尊・薬師如来を祀るのが、この薬師社です。
空襲による焼失を辛くも免れたこの薬師如来は、念仏寺を創建した行基の作とも伝わる、貴重な古仏です。
なお、この仏さまは普段は公開されていませんが、毎年2月3日の節分祭で開帳されます。
開口神社の基本情報
住所:大阪府堺市堺区甲斐町東2丁1-29
電話番号:072-221-0171
アクセス:
(阪堺線)宿院駅から徒歩5分
(南海本線)堺駅から徒歩10分 (南海高野線)堺東駅から徒歩15分
駐車場:境内に駐車スペース有(20台)
ホームページ:開口神社