鎌倉時代~室町時代にかけ、武家の庇護を受けて広まった禅宗。
特に京都には、歴史ある禅寺が数多く残ります。
京都東山、鴨川の東にある建仁寺(けんにんじ)もその1つ。
日本臨済宗の祖・栄西により創建された名刹で、現在は、臨済宗建仁寺派の大本山です。
栄西創建、京都五山の第三位
建仁寺の創建は、鎌倉時代初期の建仁2年(1202年)、開山は栄西です。
栄西は、中国(宋)の臨済宗を日本にはじめて伝えた僧で、いわば「日本臨済宗の祖」ともいうべき人物。
その栄西が、鎌倉幕府の庇護を得て、京都に開いたのがこの建仁寺。
建仁寺は、京都最古の禅寺とも呼ばれています。

鎌倉時代に続く室町時代においても、武家による臨済宗への深い帰依は続きます。
京都屈指の禅寺であった建仁寺も、室町幕府の手厚い保護を受けました。
室町幕府が定めた寺格制度、京都五山において、建仁寺は天龍寺・相国寺に次ぐ第三位とされました。


建仁寺の境内見どころ
建仁寺の境内には、一直線に並ぶ三門・法堂・方丈など、典型的な禅寺の伽藍が残ります。
ただし、応仁の乱などの室町時代の戦乱で、建仁寺はたびたび伽藍を失っています。
鎌倉時代創建当初の建物はすでになく、現在残るのはすべて後代の再建です。
また、現在の建仁寺の伽藍のうち、方丈・本坊や法堂は内部拝観できます。

勅使門
勅使門(ちょくしもん)は、建仁寺の境内南端に立つ四脚門。
一般には、勅使門は、天皇の行幸、あるいは、天皇からの使者(勅使)を迎えるときに使われます。
建仁寺の勅使門は、年代的には、鎌倉時代後期の建築様式とされ、国の重要文化財に指定されています。
門の扉は開いてはいるものの、普段はここから建仁寺の境内に入ることはできません。
お寺の境内へは、他の門からお入りください。

三門
勅使門の北、放生池を挟んで立つ、豪壮な三門。
この三門は、大正時代に他のお寺から移築されたもので、江戸時代末期の建築物です。
三門の二階に掲げられた扁額には、「望闕楼」(ぼうけつろう)の三文字。「御所を望む楼閣」の意味があります。

法堂
三門の北側には、またもや大きな建築物。これは法堂(はっとう)。
仏殿も兼ねている建仁寺の本堂にあたる建物で、江戸時代中期の再建です。
堂内には建仁寺本尊・釈迦如来像が祀られ、天井には壮大な双龍図が描かれています。
法堂内部は、次の本坊・方丈とセットで拝観できます。

本坊・方丈
法堂のさらに北、境内の奥にあるのが、本坊(庫裏)と方丈です。
本坊の拝観入口から、まずは方丈へ。
この方丈は、桃山時代、毛利氏の外交僧として知られる安国寺恵瓊が、安国寺から移築したもの。
元は室町時代の建築物で、国の重要文化財に指定されています。

方丈前には、「大雄苑」(だいおうえん)と名付けられた方丈庭園があります。
ここは、白砂が一面に広がる美しい枯山水庭園。
方丈の縁側に腰を下ろして、白いお庭をしばし眺めていると、次第に心も清められていく感じがします。

また、建仁寺は、江戸時代の画家・俵屋宗達の「風神雷神図」(国宝)の所有でも知られます。
俵屋宗達は知らなくても、この絵は見たことがある!という方は多いことと思います。
なお、国宝の原本は、現在、京都国立博物館に寄託されており、普段は見ることができません。
ただし、レプリカの屏風や陶板が、本坊内で公開されています。

建仁寺の基本情報
住所:京都市東山区大和大路通四条下る小松町
拝観時間:午前10時~午後4時半(午後5時閉門)
拝観料(方丈・法堂):一般800円 小中高生500円(境内参拝は無料)
アクセス:(京阪)祇園四条駅から徒歩7分 (阪急)河原町駅から徒歩10分
駐車場:有
ホームページ:建仁寺