今回ご紹介する石山寺は、聖武天皇勅願・奈良時代創建と伝わる、近江の古刹。
現在は、東寺真言宗の大本山です。
また、西国三十三所観音霊場の第十三番札所であり、巡礼で参詣される方が絶えないお寺です。
巨大な岩盤の上に立つお寺
石山寺の境内には、硅灰石(けいかいせき)という巨大な岩盤があります。
お寺の境内のあちこちから巨岩が突き出す景色は、石山寺特有の風景です。
岩盤の上に建てられたお寺、これが「石山寺」という寺名の由来とも伝わります。

石山寺の境内見どころ
長い歴史の中で、幸いにも、大きな兵火に遭わなかった石山寺。
境内には、本堂・多宝塔をはじめ、古い建築物が残されています。
東大門
石山寺の表門である東大門は、入母屋造、本瓦葺きの八脚門。
鎌倉時代、源頼朝の寄進で建てられました。国の重要文化財指定。
門の左右には阿形・吽形一対の仁王像、いかつい顔で参拝客を出迎えます。

本堂
門をくぐった先の境内では、大きな岩盤の上にさまざまな仏堂が建てられています。
その中心は本堂で、国宝指定の建築物です。本堂は、正堂(内陣)、礼堂(外陣)、相の間の3つの部分で構成されています。
正堂は平安時代の建築で、石山寺本尊の如意輪観音が安置されています。
ただし、このご本尊は秘仏、ご開帳は33年に一度です(直近では2016年開帳)。

礼堂と相の間は、慶長7年(1602年)に増築されました。
礼堂は、参拝に訪れる大勢の人を収容できるよう、大変大きな造りとなっています。
また、礼堂は岩盤の斜面に建てられています。このような傾斜した地盤では、大きな礼堂をしっかりと支えるための構造が特に必要になります。
そのための構造が懸造(かけづくり)です。礼堂を下から眺めてみましょう。
何本もの太い柱が立ち、それらの柱が水平な貫(ぬき)でしっかりと連結された、格子状の堅固な構造で支えられています。
なお、懸造は、傾斜地の多い日本特有の建築構造です。石山寺以外では、京都の清水寺本堂(清水舞台)が有名です。

多宝塔
多宝塔は、真言宗など密教のお寺によく見られる二層の塔。
石山寺の多宝塔は、硅灰石の岩盤の上にそびえるように立っています。
この多宝塔は、東大門と同じく、鎌倉時代初期に建てられたもので、日本最古の多宝塔とされています。
本堂と同様、この多宝塔も国宝に指定されています。

季節の花を楽しめる境内
さて、石山寺は「花の寺」としても知られます。
春は梅・桜・ツツジ、夏は花菖蒲・あじさい、秋は萩、冬はサザンカ・ツバキなど、四季折々で季節の花を楽しめます。
また、紅葉の名所でもありますね。
本堂へのお参りを終えたら、いろんな種類のお花が色とりどりに咲き誇る境内を、ぐるりと巡ってみましょう。

石山寺の基本情報
住所:滋賀県大津市石山寺1丁目1-1
参拝時間:8:00~16:30(入山は16:00まで)
入山料:大人・中高生600円 小学生250円
本堂内陣拝観:大人・中高生500円 小学生250円
豊浄殿拝観料(春・秋):大人・中高生300円 小学生150円
備考:入山料、本堂内陣拝観、豊浄殿拝観料のセット券あり
アクセス:
(京阪)石山駅から徒歩10分
(JR)石山駅から徒歩30分(駅から石山寺へ向かう路線バスあり)
駐車場:有
ホームページ:石山寺