琵琶湖東岸、安土城跡が残る安土山の南に、繖山(きぬがさやま)という山があります。
この繖山の山頂付近に立つのが、観音正寺(かんのんしょうじ)。
天台宗系のお寺で、西国三十三所の第三十二番札所としても知られる、湖東の古刹です。
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西国巡礼の難所の1つ
飛鳥時代・聖徳太子開基とも伝わる由緒あるお寺、観音正寺。
室町時代には、南近江守護の六角氏の居城・観音寺城が近くに築かれ、六角氏の庇護のもと、このお寺も繁栄しました。
戦国時代には織田信長と六角氏の戦いで伽藍を焼失したものの、桃山時代に再興。
西国三十三所観音霊場の札所の1つとして、今も参拝者が絶えないお寺です。
さて、安土城の南にある繖山(きぬがさやま)の標高は、432m。
その山頂に立つ観音正寺は、古来より、西国巡礼の難所の1つとされてきました。
現代では途中まで自動車で登ることも可能になって多少はましになりましたが、今も難所であることには変わりありません。
(徒歩での参拝ルート参照)
しかし、山頂付近に立つ観音正寺、その境内からの眺望はなかなか見事。
山麓に広がる、安土周辺ののどかな景色を一望できます。
観音正寺の境内見どころ
この観音正寺には、昭和の時代まで、昔の古い本堂とご本尊が残されておりました。
しかし、1993年(平成5年)の火事で、残念ながら本堂を焼失。
現在の本堂はその後の再建です。
入口に立つ仁王
普通、お寺の入口には「山門」と呼ばれる門があります。
また、門の両側には、二体の仁王が立っていることも多いですね。
しかし、この観音正寺、これほど歴史あるお寺には珍しいのですが、まず山門がありません。
そして、開放感あふれるお寺の入口には、左右一対の仁王だけが立っています。
つまり、二体の仁王像が、山門の役割を果たしています。
本堂とご本尊・千手観音
境内の一番奥には、正面五間、奥行七間の大きな本堂があります。
2004年の再建ですが、昔の古い建築様式を踏襲した木造のお堂です。
なお、本堂焼失の際にはご本尊も失われたため、本堂再建と合わせて新たなご本尊が作られました。
それが、現在の本堂の奥に安置されている、千手千眼観世音菩薩坐像。
いわゆる「千手観音」です。
座高3.5m、背後の光背も合わせると6mを超える、巨大な観音さまです。
徒歩での参拝ルート
西国巡礼の難所の1つ、観音正寺。
今では車でも行けますが、徒歩で山を登って昔の巡礼気分を味わうのも乙なもの。
徒歩での参拝ルートは、主に次の3つです。
(各ルートの登り口については、後の地図も参照ください)
表参道ルート
繖山の南からのびる表参道は、3ルート中の最短ルートです。
ただし、ここは、えんえんと石段が続く道。
石段の数は、なんと1200段以上!
また、登り口は鉄道の駅から遠く、バスの停留所もなし。交通不便なのも難点です。
登山口からの所要時間は約40分です。
裏参道ルート
繖山の東からのびる裏参道。
登り口は、山の東麓に鎮座する結神社の近くにあります。
距離は長いですが、傾斜が緩やかで一番登りやすいルートです。
また、登山口付近まではJR能登川駅からバスを利用できます。
登山口からの所要時間は約50分です。
安土ルート
繖山の西の麓から、桑實寺・観音寺城跡を経て、観音正寺へ至るルートです。
(桑實寺の詳細については、「桑實寺」のページをご覧ください)
表参道と並び、こちらもなかなか険しいルート。
登山口から山の中腹に立つ桑實寺まで、石段がずっと続きます。
桑實寺の先も、ところどころ傾斜のきつい山道です。
登山口からの所要時間は約60分です。
観音正寺の基本情報
住所:滋賀県近江八幡市安土町石寺2番地
電話番号:0748-46-2549
拝観時間:午前8時~午後5時
拝観料:大人500円 中高生300円 小学生以下は無料
登山口までのアクセス:
(表参道登山口)JR安土駅から徒歩50分、または、JR能登川駅からバス・「国道石塚」バス停下車徒歩30分
(裏参道登山口)JR能登川駅からバス乗車、「観音寺口」バス亭下車徒歩5分
(安土側登山口)JR安土駅から徒歩25分
駐車場:有(ただし、冬期は、途中の林道が通行禁止になることもあり)
ホームページ:繖山 観音正寺