いにしえの奈良の都・平城宮跡の南西には、古くから「菅原」という地名が残ります。
菅原と聞いて自然と思い浮かぶのが、学問の神さま、菅原道真。
この奈良の菅原は、その昔、菅原道真を輩出した菅原氏が住んでいた土地です。
そして、ここには、道真公生誕の伝承も残ります。
今回は、この菅原氏発祥の地に鎮座する天満宮、菅原天満宮をご紹介します。
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ここは菅原道真生誕の地
菅原という地名は、平安遷都よりも前から存在したとされます。
古代豪族・土師(はじ)氏の一族がここに住み、菅原氏を名乗るようになりました。
この菅原の地に鎮座する菅原天満宮。
菅原氏の祖先神を祀る、由緒正しき神社です。
さて、この菅原氏の一族は代々朝廷に仕えました。
その中で出世頭といえるのが、菅原道真です。
平安時代初期、天皇の信任を受けて右大臣の高位までに登った道真公。
しかし、政敵の讒言を受けて太宰府へ左遷、遠地で生涯を閉じた話は、あまりにも有名ですね。
天満宮の社号からもわかりますが、菅原天満宮にはこの菅原道真も祀られています。
学問の神さまとして今も深く信仰されています。
また、ここ菅原の地は、道真生誕の地ともされています。
菅原天満宮の近くには、「道真公の産湯の池」と伝わる堀が残されています。
菅原天満宮の境内見どころ
広すぎず狭すぎず、「こぢんまり」という表現がピッタリの、菅原天満宮の境内。
梅の木に囲まれた静かな空間。
その中央に、厳かさを感じさせるご本殿が鎮座しています。
本殿・拝殿
石の鳥居をくぐった先の境内、正面に見えるのは拝殿。
正面に破風がつき、格式の高さも感じさせる、厳かな社殿です。
拝殿の左右には、天満宮ではおなじみの牛の像(臥牛像)が置かれています。
拝殿の奥には祝詞殿、さらにその奥には流造りの本殿があります。
このご本殿に祀られる神さまは全部で三柱。
菅原氏の祖神である天穂日命(あめのほひのみこと)、土師氏・菅原氏の祖先とされる野見宿禰(のみのすくね)、そして、学問の神さま・菅原道真公です。
文筆の神と筆塚
和歌・漢詩などで恵まれた才能を発揮し、「文筆の神」としても知られる菅原道真。
菅原天満宮の境内、手水舎奥の一角には筆塚が建てられています。
毎年3月の春分の日に催される「筆まつり」では、境内で古い筆の供養が行われます。
梅の名所
梅をこよなく愛した菅原道真。梅は天満宮の象徴です。
さまざまな梅の木が植えられた菅原天満宮は、奈良における梅の名所の1つ。
また、毎年2月上旬~3月上旬にかけて、境内で数多くの盆梅が展示される「盆梅展」が行われます。
おすすめ周辺名所
この菅原の地には、他にも次のような名所あり。
菅原天満宮への参拝の折りに、ちょっと足をのばしてみませんか。
喜光寺
喜光寺は、菅原天満宮のすぐ南にあるお寺。
菅原氏との関係が深い古刹で、菅原寺とも呼ばれています。
東大寺大仏の造営を指揮した僧、行基による創建と伝わります。
境内には、「試みの大仏殿」とも呼ばれる大きな本堂が残ります。
(詳細は、「喜光寺」のページをご覧ください)
宝来山古墳(垂仁天皇陵)
喜光寺よりもさらに南には、濠に囲まれた大きな前方後円墳があります。
この古墳は、宝来山古墳。
宮内庁により、第11代垂仁天皇の陵に治定されています。
なお、垂仁天皇は、土師氏・菅原氏の祖、野見宿禰が仕えたとされる天皇です。
菅原天満宮の基本情報
住所:奈良市菅原町518番地
電話番号:0742-45-3576
アクセス:
(近鉄橿原線)尼ヶ辻駅から徒歩10分
(近鉄奈良線)大和西大寺駅から徒歩15分
駐車場:有(普通車30台)
備考:境内参拝自由(ただし、盆梅展は入場有料)
ホームページ:菅原天満宮