安徳宮|源平時代の幼帝、安徳天皇の内裏伝説地(兵庫名所巡り)

一ノ谷の古戦場ともなった神戸の須磨は、源平ゆかりの地として知られます。

今も須磨の各地に、源平にまつわる史跡が数多く残ります。

今回ご紹介する安徳宮もその1つ。

須磨浦に面した断崖の上に立つ、小さな社。
平氏に擁立された幼帝、第81代安徳天皇を祀る神社です。

安徳宮

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安徳天皇の内裏跡伝説地

安徳天皇は、第80代高倉天皇と平清盛の娘・徳子の間に生まれました。

つまり、祖父は平清盛。源平の対立が激しくなる中で平氏に担がれ、わずか2歳で天皇に即位します。

しかし、清盛死後は勢いを失った平氏は、源氏に都を追われることとなり、安徳天皇を奉じて西国へ向かいます。

その際、安徳天皇が一時期、内裏(だいり)を置いたと伝わるのが、この地。
「安徳帝内裏跡伝説地」と呼ばれています。

安徳帝内裏跡伝説地の碑

なお、その後、平氏は西国で勢いを盛り返したものの、一ノ谷の戦いで源氏に大敗北。
続く、四国・屋島の戦いでも敗れます。

そして、壇ノ浦に追い詰められた平氏。

滅亡を悟った人々が次々と海に飛び込む中、安徳天皇も、二位の尼(平清盛の妻・時子)に抱かれて入水しました。

このとき御年8歳、あまりにも短い生涯でした。

安徳宮境内風景

安徳宮の境内見どころ

源平の対立に翻弄された悲劇の幼帝、安徳天皇。
その菩提を弔うため、内裏跡伝説地に建立されたのが、安徳宮です。

その場所は、須磨浦の北の断崖の上。
周りを閑静な住宅地に囲まれた、落ち着いた雰囲気の境内です。

安徳宮参道

安徳宮

3本の赤い鳥居が並ぶ参道、その奥に鎮座する小さな社。

これが安徳宮。幼くして生涯を終えた安徳天皇を祀ります。
子供守護の神さまとして知られます。

安徳宮社殿

真理胡弁財天

安徳宮の左には、真理胡弁財天。
七福神の一柱である弁財天ですが、水の神さま・龍神としても知られます。

水中に没した安徳天皇をお守りするため、その隣に祀られたのでしょう。

安徳宮・真理胡弁財天

皇女和宮像

真理胡弁財天のさらに左には、皇女和宮の像があります。

幕末の孝明天皇の妹で、江戸幕府第十四代将軍・徳川家茂に嫁いだ女性です。

ただ、この像は、安徳天皇とは特に関係ありません。
もとはここから北の山の中にありました。

山中では拝んでくれる人もないということで、この安徳宮の側に移されました。

安徳宮・皇女和宮像

周辺の源平史跡めぐり

さて、安徳宮の周辺は、その昔、源平の激しい戦いが繰り広げられた一ノ谷の古戦場。

近くの源平ゆかりのスポットをめぐってみましょう。
例えば、次のような史跡が残ります。

義経の逆落とし

一ノ谷の戦いの勝敗を決定づけた、源義経の「逆落とし」。

平氏の背後に迂回した義経軍。
果敢にも断崖絶壁を馬で駆け下り、平氏の軍勢の背後から奇襲します。

予期せぬ攻撃で、平氏は総崩れとなりました。

この逆落としの場所についてはいろいろ説がありますが、その1つが、安徳宮南側の断崖です。

なかなかきつい急坂ですが、振り返れば、眼の前には一面に広がる須磨の海。
海の近くまで山が迫っているのがよくわかります。

逆落としの急坂から眺める須磨の浦

須磨浦公園・戦の濱碑

逆落としの断崖南側には、須磨の海に面して美しい松原が広がります。

ここでは、山から攻め降りてきた源氏と、それを迎え撃つ平氏との間で、激しい戦いが行われました。

現在、ここは須磨浦公園の一部。
園内には「戦の濱」と刻まれた石碑が立っています。

須磨浦公園・戦の濱碑

敦盛塚

名を誇りとし、集団戦よりも個人戦が重んじられた源平時代。
須磨の浦では一騎打ちも行われています。

特に有名なのが、源氏・熊谷直実と平氏・平敦盛の一騎打ち。

平敦盛は清盛の甥。
この当時はまだ16歳の若武者でしたが、熊谷直実との戦いに敗北、首を取られました。

須磨浦公園の西の端には、この敦盛を弔った敦盛塚が残ります。

須磨浦公園・敦盛塚

さらに足をのばして須磨寺へ

須磨の源平の名所をめぐるなら、須磨第一の名刹・須磨寺もおすすめ。

須磨寺は、一ノ谷の戦いで源義経が本陣を置いたとされています。
境内にはさまざまな源平ゆかりの史跡が残ります。

安徳宮や須磨浦公園からは少し東に離れていますが、須磨の散策を楽しみながら足をのばしてみませんか。

須磨寺

須磨の浦で熊谷直実に討ち取られた平敦盛の首は、須磨寺の義経の元に送られました。

境内には、首実検に際して義経が座ったとされる腰掛け松や、敦盛の首を弔った首塚などがあります。

(詳細は、「須磨寺」のページをご覧ください)

須磨寺・義経の腰掛け松

安徳宮の基本情報

住所:神戸市須磨区一ノ谷町2丁目6−35

アクセス:(山陽電鉄)須磨浦公園駅から徒歩15分 (JR)須磨駅から徒歩20分

駐車場:数台分の駐車スペース有

備考:参拝自由

安徳宮地図

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