昔の天皇の御所が残る京都御苑の西縁、そのほぼ真ん中に立つ、蛤(はまぐり)御門。
幕末の「禁門の変」の舞台となった、歴史的にも有名な門です。
この蛤御門のちょうど向かいにあるのが、今回ご紹介する護王神社(ごおうじんじゃ)。
境内のあちこちに猪の像が置かれたこの神社、「いのしし神社」の名で親しまれています。
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道鏡事件で活躍、祭神・和気清麻呂
護王神社に祀られるのは、奈良時代の貴族・和気清麻呂(わけのきよまろ)。
「道鏡事件」の活躍で知られるお人です。
女帝・称徳天皇の下で、怪僧・道鏡が権勢を誇った、奈良時代末期。
筑紫(九州)の宇佐神宮のご神託を得たとして、道鏡への皇位継承を企む動きが進んでいました。
しかし、和気清麻呂は、宇佐神宮まではるばる足を運び、神託が偽りであることを確認。
道鏡一派の企みを見事にくじきました。
この逸話から、和気清麻呂は皇統を守った人物とされ、清麻呂を祀る護王神社は、歴代の天皇・皇室から篤い崇敬を受けました。
なお、護王神社は昔から今の場所にあったわけではなく、江戸時代までは高雄の神護寺境内にありました。
明治時代に入り、天皇勅命により、京都御所西の公家邸宅跡に移転、現在に至ります。
護王神社の境内見どころ
現在の護王神社の境内、なぜか、あちこちに猪(いのしし)の像が置かれています。
護王神社といのししの関係は、次の故事からきています。
道鏡の企みは阻止できたものの、その怒りを買って流罪となった和気清麻呂。
さらに、足萎えに悩みながら向かうその道中、道鏡の刺客に襲われて危機一髪!
そのとき、何百頭ものいのししが清麻呂の周りを取り囲み、刺客から守ってくれたとのこと。
また、いのししに救われた際、清麻呂の足萎えもすっかり治ったことから、護王神社は「足腰難儀回復の神さま」として知られています。
手水舎
表門をくぐると、右手に手水舎があります。
まずは、こちらで手と口を清めましょう。
手水の注ぎ口には、黒光りのいのしし。
ここは、「霊猪の手水」と呼ばれています。
いのししの鼻をなでると、幸せになれるそうですよ。
拝殿
境内の真ん中にある、四方吹き放ちの建物は拝殿です。
拝殿前には、普通は、狛犬が置かれることが多いのですが、ここでは犬の代わりに猪。
左右一対の狛イノシシ。
右は口をあけ、左は口を閉じた、阿吽(あうん)の形です。
中門と本殿
拝殿の奥にあるのは中門、その奥に、流造の本殿があります。
本殿には、和気清麻呂と、その姉の和気広虫(わけのひろむし)が、主祭神として祀られています。
この本殿の前には、ご神木・招魂樹があります。
その木の根元には、たくさんの串に囲まれたイノシシの像。
これは「願掛け猪」。
願い事を書いた紙をはさんだ串を、イノシシのそばに刺して願掛けをします。
また、本殿右手前のご神木横には、足腰難儀回復の碑があります。
足腰の神さまとして知られる護王神社。
下半身の病気やけがに悩まされている方は、ここでよくお祈りしておきましょう。
護王神社の基本情報
住所:京都市上京区烏丸通下長者町下ル桜鶴円町385
電話番号:075-441-5458
参拝時間:午前6時~午後9時(祈祷・授与所受付時間:午前9時~午後5時)
アクセス:(地下鉄烏丸線)丸太町駅から徒歩7分
駐車場:境内に無料駐車場有(15台)
ホームページ:護王神社