関西で大仏といえば、多くの人が奈良・東大寺の大仏を思い浮かべます。
しかし、実は関西にはもう1つ、大仏さまが存在することをご存じでしょうか。
その場所は、神戸市兵庫区の能福寺(のうふくじ)。
お寺の境内中央にお座りになる大仏さま、「兵庫大仏」と呼ばれています。
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平氏とのゆかりの深い古刹
能福寺は、比叡山延暦寺を総本山とする天台宗の古刹。
その歴史は古く、遠い平安時代初期、日本天台宗の祖・最澄(伝教大師)による創建と伝わります。
また、平氏とのゆかりの深いお寺としても知られます。
平安時代末期、平清盛による福原京遷都の際には、平氏の祈願寺とされました。
兵庫大仏
さてこの能福寺、現在は「兵庫大仏」で知られるお寺です。
まずは、能福寺一番の見どころ、この兵庫大仏からご紹介していきましょう。
住宅地の中にたたずむ大仏さま
屋内(大仏殿)に収められた奈良・東大寺大仏とは違い、ここ能福寺の兵庫大仏は、屋外に安置されています。
その大きなお姿、普通なら、遠くからでも見えそうなもの。
しかし、この能福寺というお寺は、周辺の住宅地に囲まれています。
お寺の近くまで来ても、大仏さまの姿はなかなか見えません。
住宅地の中に隠れるようにたたずむ、兵庫大仏。
お寺の正面入口に到着した途端、その巨大なお体が目の前に出現!
兵庫大仏は、「ビルシャナ殿」と呼ばれる建物の上、20段ほどの階段の先にお座りになられます。
その高さは11m。また、台座なども含めた地上からの高さは18mにもなります。
なお、兵庫大仏は、毘盧遮那仏(ビルシャナ仏)という仏さま。
大日如来と同一視される、密教における中心仏です。
奈良東大寺と鎌倉高徳院のお墨付き
現在の兵庫大仏は二代目です。
初代の兵庫大仏は、1891年(明治24年)の建立。
当時は、奈良の東大寺大仏、鎌倉大仏(高徳院)とともに日本三大大仏の1つとされました。
しかし、残念なことに、太平洋戦争末期、戦争への金属供出のために取り壊されてしまいました。
現在の兵庫大仏は、初代の建立から100年を経た、1991年(平成3年)に再建されました。
その開眼法要には、奈良・東大寺管長と、鎌倉・高徳院貫主も参加。
このときに、「二代目兵庫大仏も日本三大大仏の1つ」という、東大寺と高徳院のお墨付きをもらったそうですよ。
その他の境内見どころ
さて、兵庫大仏が目立ってしまっている能福寺境内ですが、他にも次のような見どころあり。
大仏さまにお参りしたら、お寺の境内をひとめぐりしてみましょう。
月輪影殿(本堂)
兵庫大仏の右には、格式の高そうなお堂が立っています。
このお堂は、月輪影殿(つきのわえいでん)。
能福寺の本堂にあたる建物です。
元は、京都・泉涌寺にある月輪御陵の拝殿。
明治天皇、大正天皇、昭和天皇がそれぞれ参拝に訪れたこともある由緒ある建物です。
昭和28年(1953年)に拝領、ここに移設されました。
平相国廟(平清盛墓所)
平氏一門の祈願時とされた能福寺。
その中でも、特に、平清盛とのゆかりが深いお寺です。
晩年に、清盛が出家して入道となったときに、剃髪したのがこのお寺と言われています。
また、清盛の没後にはお墓も作られたとか。
現在の能福寺の境内には、1980年(昭和55年)に再建された、平清盛墓所「平相国廟」があります。
なお、「平」は平氏、「相国」は太政大臣のこと。
平氏という武門の総領ながら、人臣最高の地位である太政大臣に登った平清盛は、「平相国」とも呼ばれます。
能福寺の基本情報
住所:神戸市兵庫区北逆瀬川町1-39
電話番号:078-652-1715
拝観時間:午前9時~午後5時
拝観料:無料(境内参拝自由)
アクセス:(JR)兵庫駅から徒歩15分、(地下鉄海岸線)中央市場前駅から徒歩10分
駐車場:有(ただし、利用可能か事前にお寺に確認を)・周辺にコインパーキング有
ホームページ:天台宗宝積山 能福寺