大阪府の南東部に位置する藤井寺市・羽曳野市には、大小さまざまな古墳が残ります。
130基以上の古墳があり、古市古墳群と呼ばれています。
古市古墳群では、国内第2位の前方後円墳、応神天皇陵(誉田御廟山古墳)(羽曳野市)が有名ですが、その他にも、大きさ200mを超える巨大古墳がいくつもあります。
今回はその1つ、藤井寺市の北部にある、津堂城山古墳(つどうしろやまこふん)をご紹介します。
古市古墳群の最古級の古墳
津堂城山古墳は、墳丘長210mの前方後円墳。
応神天皇陵(墳丘長425m)など、巨大古墳が揃う古市古墳群の中で6番目の大きさです。
前方後円墳の円形部分(後円部)を北西、方形部分(前方部)を南東に向けています。

作られた時期は古市古墳群の中ではかなり古い部類に入ります、5世紀初頭の築造とされる応神天皇陵よりもさらに前、4世紀後半の築造と推定されています。
なお、被葬者は定かではありませんが、墳丘規模や出土した石棺・副葬品などから、古代の大王の陵とも考えられています。
現在、宮内庁により、第19代允恭天皇の陵墓参考地に治定されています。

津堂城山古墳の見どころ
さて、応神天皇陵をはじめとする古市古墳群の大型古墳の多くは、宮内庁に厳重に管理されており、普通は中に入ることができません。
しかし、この津堂城山古墳は例外で、中に自由に入ることができます。
古墳全体が国の史跡に指定され、墳丘の周りは史跡公園として整備されています。
墳丘の周りには遊歩道やお花畑もあり、気軽に散歩やウォーキングを楽しめる、のどかで開放的な場所です。

墳丘
公園中央にある、木々に覆われたこんもりとした墳丘。
なだらかな丘で、頂上へ向かう道もあり。ハイキング感覚で気軽に登ることができます。

自然豊かな墳丘で、芝生も広がり、のんびりくつろぐこともできます。
普段は、地元の子供たちの遊び場にもなっています。

ただし、墳丘北側・後円部の一部は、柵に囲われて入れません。
ここは、昔の発掘で石棺などが見つかった場所であるため、宮内庁により立ち入り禁止とされています。

史跡城山古墳ガイダンス棟「まほらしろやま」
津堂城山古墳を紹介する施設です。墳丘の北側にあります。
この古墳では、過去に何度か発掘調査が行われており、「まほらしろやま」の館内では、その発掘調査の様子や調査で出土品などが紹介されています。
CGで当時の古墳全容を紹介する、映像コーナーもあります。

館外の展示スペースでは、竪穴式石室の天井石(実物)や長持形石棺(レプリカ)など、大型の展示品が置かれています。
なお、「まほろしろやま」の入館は無料。自動販売機やトイレ、休憩スペースもありますので、古墳散策の拠点として利用しましょう。

津堂八幡神社
墳丘西側には、木々に埋もれるように古い神社の鳥居が立っています。
ここは、墳丘後円部の中腹に鎮座する、津堂八幡神社。
八幡神とも呼ばれる、応神天皇の神格・品陀別命(ホンダワケノミコト)を祀ります。

この津堂八幡神社は、元からここにあったわけではなく、近隣からの移転した社です。
とはいっても、その移転時期は江戸時代中期の享保5年(1720年)。それからすでに300年も、この地に鎮座しています。

城山古墳花しょうぶ園
津堂城山古墳は、ハナショウブの名所としても知られます。
墳丘の東側に広がる花しょうぶ園。ここには、1万6千株ものハナショウブが植えられています。

開花ピークは6月上旬。紫、青、白、ピンクなど色とりどりの美しい花を咲かせます。
また、毎年この時期には、開花にあわせて「花しょうぶまつり」が開催されます。

アイセルシュラホール
津堂城山古墳から少し離れていますが、藤井寺市立生涯学習センター(愛称:アイセルシュラホール)も、津堂城山古墳などの古墳めぐりとあわせて訪れておきたいスポットです。
舟形埴輪と修羅(しゅら)をイメージしてデザインされた独特な外観は、藤井寺のランドマークの1つです。

館内2階の歴史展示ゾーンには、津堂城山古墳の出土品をはじめ、藤井寺の文化財が展示されています。
見どころは、津堂城山古墳の内濠から出土した3体の水鳥形埴輪。
ハクチョウの形をした精巧な埴輪で、水鳥形埴輪としては日本最古で最大。国の重要文化財にも指定されています。


津堂城山古墳の基本情報
住所:大阪府藤井寺市津堂
園内情報:入園自由・墳丘立ち入り可能(一部除く)
ガイダンス棟「まほらしろやま」:
(開館時間)9:00~16:00
(休館日)年末年始(12/28~1/4)
(入館料)無料
アクセス:(近鉄南大阪線)藤井寺駅から徒歩20分
駐車場:無
ホームページ:史跡城山古墳ガイダンス棟「まほらしろやま」(藤井寺市ホームページ内)