今回ご紹介するのは、京都・伏見に鎮座する伏見稲荷大社。
稲荷神社と呼ばれる神社は日本全国に数多く存在しますが、この伏見稲荷大社は、その頂点に立つ稲荷神社の総本宮。
商売繁盛の神さまとして知られ、古くから商売人からの篤い崇敬を集めてきました。
また、全国の神社の中でもその知名度はトップクラスで、参拝客数では常に上位。
観光などで日本を訪れる外国人にも人気の名所の1つです。
朱色の神社と神使の狐
伏見稲荷の神さまは、稲荷大神(いなりおおかみ)。ウカノミタマ(宇迦之御魂大神)など五柱の神さまです。
稲荷大神が降臨したとされる稲荷山(いなりやま)に創建されたこの神社。
その歴史は古く、平城京への遷都が行われた和銅年間(708-715年)と伝わります。

また、稲荷大神は、古来より五穀豊穣の神さまとされました。
その後、産業の神さまに転じ、現代では商売繁盛の御利益でも知られます。

さて、神社の鳥居や社殿は朱色であることが多いですが、伏見稲荷は特にその朱色のイメージが強い神社です。
朱色は、稲荷大神の力の豊穣を表す色とされ、よく知られる千本鳥居はもちろん、楼門や社殿などすべて朱色に統一されています。

また、稲荷といえば狐。狐は稲荷大神の神使です。
伏見稲荷大社では、大鳥居の横、楼門の脇、拝殿の左右など、いろいろな場所に狐が座っています。
朱色の前掛けをした、目元りりしい白狐。
また、玉などを口にくわえていたり、逆立ちしていたりと、その仕草はさまざま。
境内を参拝しながら、どんな狐がいるのか探してみましょう。

伏見稲荷大社の境内見どころ
現在の伏見稲荷大社の主な社殿は、稲荷大神が降臨したとされる聖なる山、稲荷山の麓に建てられています。
楼門
正面の大鳥居をくぐった先に見える、巨大な朱色の楼門。
楼門左右に座るのは、狛犬ならぬ「狛狐」です。
この楼門は、1589年(天正17年)、豊臣秀吉により造営されました。
国の重要文化財に指定されています。

本殿・拝殿
楼門の奥には、外拝殿、内拝殿・本殿が一直線に並びます。
神さま(稲荷大神)が祀られているのは奥のご本殿。
ただし、普段は本殿に入ることはできません。一般の参拝客は内拝殿前で拝礼します。
本殿と内拝殿は、室町時代、応仁の乱後の1499年(明応8年)の再建。
また、外拝殿は、江戸末期、1840年の再建です。
いずれも、国の重要文化財に指定されています。

奥宮
ご本殿に参拝したら、さらに境内の奥に進んでみましょう。
奥には、いくつもの境内社が並びます。
その中の1つが奥宮。この奥宮は、本社と同じく稲荷大神を祀る社で、境内社の中でも一段格上の存在です。
現在の奥宮は、桃山時代、天正年間(1573-1593)の建築で、国重要文化財の指定も受けています。

千本鳥居
さらに奥に進むと、ずらりと並ぶ、数え切れないほどの鳥居の列。
神秘的な「朱色のトンネル」、有名な千本鳥居です。
なお、千本鳥居は、伏見稲荷で一番の人気スポットです。日中は大勢の参拝客で渋滞し、通り抜けるのにも一苦労します。
可能であれば、人の少ない朝方に訪れることをおすすめします。

奥社奉拝所
長い千本鳥居を抜けると、急に開けた場所に出ます。
ここは、稲荷大神が降臨したとされる聖なる山、稲荷山を遙拝する場所で、奥社奉拝所と呼ばれています。
また、稲荷山には登ることもでき、この奥社奉拝所は、稲荷山参拝登山の起点です。
奥社奉拝所から、稲荷山山頂に向けて、朱色の鳥居が並ぶ石段の参道を登っていきます。
終点である稲荷山の山頂までの所要時間は、大人の足で1時間弱です。


また、奥社奉拝所には、「おもかる石」と呼ばれる石があります。
持ち上げてみて、予想よりも軽く感じれば願いが叶い、重く感じれば願いは叶い難い、という言い伝えのある石です。
自分が思っていた重さとの違いに、意外にびっくりするかも。気軽に試してみましょう。

伏見稲荷大社の基本情報
住所:京都市伏見区深草藪之内町68
備考:境内参拝自由
アクセス:(JR)稲荷駅から徒歩すぐ (京阪)伏見稲荷駅から徒歩5分
駐車場:有(ただし周辺道路渋滞のため、公共交通機関の利用を推奨)
ホームページ:伏見稲荷大社